元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術 目次
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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DLIでの授業風景はこちら。 2008.5.15更新

2時間目の授業をうける。  ぼくが教えるDLIについて
3時間目の授業をうける。  「まだ習っていない」は通用しない
4時間目の授業をうける。  プロの語学力のレベルは?
5時間目の授業をうける。  プロの会話力を目指して(1)
6時間目の授業をうける。  最低英会話能力「レベル1」をクリアーする
7時間目の授業をうける。  英語を止めたくなったときには……
8時間目の授業をうける。  最低基本会話「1+(プラス)」を目指す
9時間目の授業をうける。  文法は怖くない
10時間目の授業をうける。 仕事で使える会話力(初級篇)
11時間目の授業をうける。 言い換えのコツをマスターする
12時間目の授業をうける。 恋は英語で!(1)
13時間目の授業をうける。 恋は英語で!(2)
14時間目の授業をうける。 プロの聴解力を目指して レベル1〜1プラス(+)
15時間目の授業をうける。 やめたくなったら読む話
16時間目の授業をうける。 英語を聞く耳を育てる
17時間目の授業をうける。 プロの聴解力を目指して
18時間目の授業をうける。 聴解が一番難しい 
19時間目の授業をうける。 小学生に話すように言い換える 
20時間目の授業をうける。 レベル2:仕事で使える読解力(初歩) 
21時間目の授業をうける。 簡単な表現で描写するクセをつけよう 
22時間目の授業をうける。 自己紹介する 
23時間目の授業をうける。 士官クラブに行ってみよう(1) 
24時間目の授業をうける。 士官クラブに行ってみよう(2) 
25時間目の授業をうける。 基地で道に迷ってしまったら 
26時間目の授業をうける。 基地の中で許可を得る 
27時間目の授業をうける。基地に忘れ物をしてしまったら
28時間目の授業をうける。初めて拳銃を撃つ
29時間目の授業をうける。銃が故障したら
30時間目の授業をうける。ブートキャンプで鍛えよう!(1)
31時間目の授業をうける。ブートキャンプで鍛えよう!(2)
32時間目の授業をうける。ブートキャンプで鍛えよう!(3)
33時間目の授業をうける。ブートキャンプで鍛えよう!(4)
34時間目の授業をうける。エアボーンスクールで鍛えよう(1)
35時間目の授業を受ける。エアボーンスクールで鍛えよう(2)
36時間目の授業を受ける。エアボーンスクールで鍛えよう(3)
37時間目の授業を受ける。海軍サバイバル訓練で鍛えよう(1)
38時間目の授業を受ける。高高度飛行を体験する(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-2)
39時間目の授業を受ける。着水! (海軍サバイバル訓練で鍛えよう-3)
40時間目の授業を受ける。超音速ジェット搭乗-1(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-4)
41時間目の授業を受ける。超音速ジェット搭乗-2(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-5)
42時間目の授業を受ける。超音速ジェット搭乗-3(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-6)
43時間目の授業を受ける。軍法会議通訳 
44時間目の授業を受ける。アラスカ冬季訓練で鍛えよう
45時間目の授業を受ける。アラスカ冬季訓練で鍛えよう(2)
46時間目の授業を受ける。アラスカ冬季訓練で鍛えよう(3)
47時間目の授業を受ける。アラスカ冬季訓練で鍛えよう(4)
48時間目の授業を受ける。砂漠の嵐(1)
49時間目の授業を受ける。砂漠の嵐(2)
50時間目の授業を受ける。砂漠の嵐(3)
51時間目の授業を受ける。南カリフォルニア大地震
52時間目の授業を受ける。元気が出る話


【軍隊式英会話術】 第1回


軍隊式英会話上達クラスにご出席いただき、ありがとうございます。
教官の加藤 喬です。

まずは自己紹介から。
現在、カリフォルニア州モントレーの米国防総省外国語学校日本語学部
(Defense Language Institute Foreign Language Center Japanese Branch) の部長をしています。
元米陸軍大尉 (Former Army Captain) です。

1957年東京生まれ。79年に渡米しました。アラスカ州立大学フェアバンクス校在学中、予備役士官訓練部隊 (Reserve Officers' Training Corp:ROTC) を通じて少尉に任官しました。
91年の湾岸戦争では整備中隊の中隊長代理として任務につきました。帰国後、 陸軍州兵部隊 (Army National Guard) の語学情報大隊 (Military Intelligence Battalion-Linguist) に転属。
日米合同演習「山桜」などで自衛隊との語学支援任務に就きました。
名誉除隊以来、現職です。
空手、水泳、射撃、料理をたしなみます。

また、米軍将校時代の体験をまとめた本「名誉除隊-星条旗が色褪せて見えた日-」(並木書房2005年刊)を発売しています。

さて、このクラスは、何がなんでも英会話をモノにしたい人を対象にしています。
学生でも社会人でも、引退なさった方でもけっこうです。過去の経験も不問です。
要は「英語で意思を伝えたい。外国人と恋に落ちてみたい。海外で生きてみたい。 仕事がしてみたい」という強い決心と好奇心を持っていることです。カリキュラムは次の通りです。


* DLIでの語学教育紹介
* 英語をモノにするための心構え(やめたくなったときやめない方法)
* 仕事で使える英語のレベル
* 仕事で使える英語をモノにするためのコツとテクニック(会話 聴解 読解)
* 実技編: 英語圏で出会うサバイバル状況に対応するそれではこれからオリエンテーションに続き、授業を開始します。

フォールイン!(整列!)


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1時間目 オリエンテーション



「軍隊式英会話術」では、アメリカ国防総省外国語学校(Defense Language Institute: DLI)
で16年間培ってきた教授法を駆使してみるつもりです。
日本の高校大学や英会話学校とはかなり違った内容になるでしょう。
百聞は一見にしかず(To see is to believe)と言います。
ではまず、DLIの新入生オリエンテーションに加わってもらいましょう。
ぼくと一緒についてきてください。
教室の扉を開けると学生たちの視線が降りかかってきます。
茶色、とび色、緑、青の瞳が頭のてっぺんからツマ先までいっせいに走査し、
性格の品定めを試みます。
ぼくはその隙を与えず、いきなり日本語で切り出します。
「はい、ではオリエンテーションを始めます。ぼくは部長の加藤です。よろしく。
ではこの文章を聞いてください。分かった人は手を挙げて」
ぼくが読むのは「われら合衆国の人民は、より完全な連邦を形成し……」
で始まる合衆国憲法前文です。
アメリカ育ちなら誰でも知っているものです。
「なにが起こっているんだ?」
学生たちの表情がたちまち曇ります。軍服の左胸に輝く特殊技能徽章や軍歴を示す
カラフルな略章がにわかに頼りなくなったからです。不安げにお互いを見合う新兵
も目に付きます。
こわもてのレンジャー隊員や戦闘機乗りは、彼らの前で動揺を見せまいと力みます
が、やはり動揺は隠せません。
充分に混乱した頃を見計らい、英語に切り替えて種明かしをしてやります。
唖然となったところを畳みかけます。
 「なぜ、分からなかったんだ?」
 (Why didn't you understand?)
 「日本語だからです」
 (Because it's Japanese)
当たり前すぎて質問の意味が分かりかねる、という口調です。
 「日本語だと、なぜ分からない?理由は?」
 (Why don't you understand, if in Japanese? Any reason?)
学生の表情に、おやっという色が浮かびます。外国語だから分らない、という一見
もっともな回答に、もう一歩踏み込んで考える足がかりを与えられたからです。
いがぐり頭の陸軍二等兵が勇気をふりしぼって答えます。
 「言葉を知らないから……です」
 (Because I don't know the words…. Sir)
 「言葉を知らないとはどういうことかな?」
 (What do you mean by you don't know the words?)
かわいそうですが質問の手をゆるめません。ここが肝心だからです。
 「音が分かりません」
 (I don't understand the sound)
 「そう? では言ってみたまえ。<はじめまして>」
 (Is that so? Well then, say again)
 「ハジメマシテ」
 「言えるじゃないか。音はぼくが言ったとおりにキミにも聞こえているんだ」
 (You can say it, can't you? You are hearing exactly what I said)
 「でも、音の意味が分かりません」
 (But, I don't understand the meaning of the sound)
 「そこだ!」
 (That's it!)
外国語習得とは、音と意味の格闘なのです。毎日遭遇する未知の音に根気よく意味を
与え続け、自分のなかに語彙として取り込んでいく際限ない作業のことです。
試験のための一夜漬け、つまり、すぐ忘れてしまう丸暗記とは似て非なるものなのです。
初日のショック療法は、この事実を学生に叩き込むためです。
教室の大型スクリーンに航空母艦(aircraft carrier)の写真を映し出します。
港では他を圧倒する巨艦も大洋の中では豆粒のようです。
その空母を当国防総省外国語学校(Defense Language Institute: DLI)に、
そして発艦カタパルトの長さを63週間の日本語初級コースに喩えます。
日本語をマスターするという遠大な目標をまえに、63週間がいかに短いかを体感させ
るための映像です。
学生の中に海軍航空士官(Naval Aviator)、つまりパイロットやレーダー迎撃士官
(Rader Interceptor Officer)がいる場合は、艦載機を巨大なパチンコのように打ち
出すカタパルト発進(Catshot)が、いかに激烈で心身に堪えるものかを説明させます。
実体験の迫力に固唾を呑んで聞き入る学生への<きめ>は次の言葉です。
「DLIでは、キミたちがパイロットで、われわれ先生がカタパルトだ。
ぼくたちの任務はあらゆる手段を駆使してキミらを63週間で離陸速度(takeoff velocity)
まで加速し、日本語の単独飛行(solo flight)ができるまでに仕上げることだ。日本語の
ように難解な外国語を63週間でマスターするというのは、陸上でなら数千メートル級の
滑走路で得られる離陸速度まで、たった100メートルで達しようとするのと同じだ。いまから
言っておく。これは生やさしいことではない。全員が卒業できるとも限らない。辛いぞ」
初対面でこれほど辛く当たるのには理由があります。民間人通訳の場合と異なり、軍隊での
語学任務には人の命がかかってくるからです。
例えば敵の逆襲に関する情報で「歩兵」(infantry)と「砲兵」(field artillery)、
「4日」と「8日」を聞き間違ったらどうなるか考えてみてください。
たった一音節の違いが、敵の火力規模や逆襲のタイミングに致命的な誤解を生む可能性が
でてきます。
操縦士になる資質のない者が飛行機を飛ばせば自他の命にかかわります。まったく同じ
理由で、語学才能のない学生も早めに見抜かなければならないのです。
DLIでの語学教官には、困難な目標に突き進む学生への親身の指導と、見込みのない
者をふるいにかける冷徹さが同時に要求されているのです。
DLI教官に与えられた任務の二面性を、ぼくは第1日目から学生に直球でぶつけます。
これでおじけづくようなら、1年半近い連日の特訓を生き延びるチャンスはまずありません。以上でオリエンテーションは終了します。


次回は:【DLI-米国防総省外国語学校日本語学部】
(Defense Language Institute Foreign Language Center Japanese Branch)
について、詳しく説明していきます。

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【著書の紹介】
米軍将校時代の体験をまとめた本「名誉除隊-星条旗が色褪せて見えた日-」を発売しています。
興味のある方はぜひご一読下さい。

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