元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.42

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◆【軍隊式英会話術】 vol.42
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超音速ジェット搭乗-3(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-6)      Takashi Kato
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42時間目 超音速ジェット搭乗-3
(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-6)


 "You have done a good job flying her. Now let me have her back"
 (上手く飛ばしたな。上出来だ。じゃあ、操縦を代わろう)
 "You have"
 (操縦をお返しします)
 "I have"
 (操縦を代わった)

大佐が操縦桿を握ると同時に、機体がシャープに右に傾きました。

 "We will do a touch-and-go"
"A touch-and-go" というのは着陸してから完全に止まる前に再び離陸する練習です。

 "Roger that, Captain"
 (了解です、大佐殿)
 "Check the ejection seat again"
 (射出座席再確認してくれ)
 "Roger. The ejection seat is armed"
 (了解。射出座席安全装置解除)
 "Here we go. Watch the ball"
 (いくぞ。ボールを見るんだ)

地上に空母の着艦甲板(landing deck)の形を描いた区域が見えます。
右舷(starboard)に着艦姿勢指示器があり、パイロットはこれを見て機体が正しい降下
コースに乗っているかどうかを確かめます。
パイロットの俗語(pilots' jargon)でこれをミートボールと呼びます。「ボールを見ろ」
とはこのことです。

 "They waved us!"
もう少しでタッチダウンというところで、大佐が言いました。"wave" とは「追い払う」
ということで、着艦をやり直せと言うことです。

 "Go around"
 (着陸復行)

アフターバーナーが吠え、機体が急上昇を始めました。胃が競りあがってくる感じがし、
激しく咳き込みます。しかし、大尉のアドバイスにしたがい何も口にしなかったので、吐
くものは何もありません(there is nothing to throw up)。

全身に汗が噴出し、腰から下に力が入りません。先ほどの8G旋回がボディブローのよう
にじわじわ効いてきた感じです。
十数分後に着陸したときには、上体にも震えが伝染してきました。キャノピーが開いても
立ちくらみがしそうで不安です。意を決して立ち上がると、案の定、血の気が引いていき
ました。

 "Watch your step"
 (足元に気をつけて)

大佐が声をかけてくれました。腰が砕けているのを見透かされたのでしょうか。そうなら、
航空医官(flight surgeon)である大尉にも一目瞭然(very obvious)でしょう。
地上に降りると、大尉が近づいてくるところでした。

 "Did you like the hop?"
 (飛行はお気に召した?)
 "Yes, Lieutenant. I did. That was a ride of a lifetime"
 (はい、大尉殿。人生最高の飛行でした)
 "But a bit dizzy, aren't you?"
 (でも、ちょっとフラフラするんじゃない?)
 "You got me"

上手い表現を使いましたね。"You got me" は文脈によって様々な相反する意味合いがあり
ます。
聞かれたことが分からない場合や「一本とられた」というときなどにも使えます。
今回は「お見通しですね」がいいでしょう。

 "That's natural. So don't worry, o.k.?"
 (自然なことです。だから心配しないで。いい?)
 "Let's slip into civvies and have a drink!"
 (それじゃあ私服に着替えて飲みましょう!)
 "I set up a party for your first supersonic ride. Come to my place"
 (あなたの初超音速飛行を祝うパーティを準備したの。私の家に来て)
 "That is very kind of you, Lieutenant. I definitely will"
 (ご親切にどうも、大尉殿。ぜひ行きます)
 "My aviator friends are all coming too. One more excuse to have another party
  for them!"
 (パイロットの友人たちもみんな来るわ。彼らにとっては、またパーティを開く口実だけどね)

大尉が自宅でパーティを準備してくれていたとは嬉しいですね。
パイロットは飲みます。昔からアメリカでは警官と航空管制官はザルだ(Police officers
and air traffic controllers drink like a fish)と言われていますが、戦闘機乗りはその
上を行くかも知れません。ストレスの大きい仕事だからでしょう。

大きなクーラーに氷詰めにされたビールがあっという間になくなり、ウイスキーやウォッカの
空瓶もそこここに転がっています。
大尉が作ったメキシコ料理もおおかた姿を消しました。

パイロットたちが声高に単座機(tandem airplane)と複座機(two-seat airplane)の優
劣を議論しています。誰もが、自分の両手を飛行機に見立てて空中戦(dogfight)を再現
(recreate)しています。

 "They are kids at heart, you know. All of them, regardless of age and rank"
 (彼らは全部、成長した子供なのよ、年齢や階級に関係なく)

大尉がワイングラスを2つ持ってきてくれました。

 "I see that. Kids with toys.....million dollar toys"
 (分かります。おもちゃを持った子供だ……数億円のおもちゃを持った)
 "You got it right. For our kids with million dollar toys. Cheers!"
 (上手く言ったわね。じゃあ、数億円のおもちゃを持った子供たちに、乾杯!)

10時を過ぎると、潮が引くように人々の姿が見えなくなりました。飲むだけ飲んで、引き際
はきっぱりというのが海軍流らしいですね。
2時間酸素を吸い続けたのと、8G旋回で体調が普通ではないようです。少しワインを飲んだ
だけなのに、ほろ酔い加減です(tipsy)。いや、酩酊している(quite drunk)といったほう
が正直かもしれません。

 "I am afraid you can't drive tonight"
 (今晩は運転できそうもないわね)
 "I am afraid you are right on that"
 (どうもそのようですね)
 "Use my bed. I will sleep on the couch"
 (ベッドを使って。私はソファで寝るから)
 "Oh, no. I will take the couch"
 (いいえ、ぼくがソファを使います)
 "You are my guest tonight. Please"
 (今夜はあなたがお客様。だから、ね)
 "Thank you, Lieutenant"
 (ありがとう、大尉殿)
 "Elizabeth"

大尉がしっとりした声で教えてくれました。彼女の名前を知ったのは初めてです。

 "Thank you, Elizabeth"
 "My pleasure"
 (喜んで)

ベッドに倒れこむや、泥のような眠りが待ち構えていました。
ずいぶん長い時間がたったような気がしますが、実はそうでなかったのかもしれません。窓の
外はまだ闇です。人の気配に目を凝らすと、ベッドの端にエリザベスが座っています。ずっと
前から身じろぎもせずにそうしていたのかもしれません。

 "Hi..."

気持ちのこもった声音です。彼女がゆっくりと近づいてきました。ぬくもりを肌で感じます。
甘い香りが鼻腔を満たし、深い満足が身体の芯から湧き上がってきました。

 "Will you respect me in the morning?"
 (朝になっても私を尊敬してくれる?)
 "Yes, I will respect you in the morning, Elizabeth"
 "Be gentle with me"
 (優しくして)
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