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◆【軍隊式英会話術】 vol.20
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レベル2:仕事で使える読解力(初歩) Takashi Kato
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20時間目 レベル2:仕事で使える読解力(初歩)
これまで、会話、聴解の順で外国語上達法を見てきましたが、仕事で通用する語学力とは、リス
ニング、スピーキング、リーディングが調和したものだということを忘れないでください。
ですから各分野の勉強は、バランスをとりながら同時進行形で進めることが大切です。
読解にはテキストという「モノ」がありますから、聴解や会話よりは楽にできます。
しかし、英語をマスターするためのコツは変わりません。
聴解と同じく、頭を英語モードに切り替えるのです。
つまり、まず文頭の主語を見つけ、次に動詞を探します。
英語の場合、動詞は主語のすぐ後に来ることを常に意識してください。
最初のうちはマーカーを使ってキーワードをハイライトしながら、「Subject(主語)は◯○」
「Verb(動詞)は◯○」と呼称すると、主語と動詞の関係が視覚的にも意味的にも分かりやすく
なります。
例えば、
ANCHORAGE LONDON (AP) - An explosion aboard a nuclear-powered Royal Navy
submarine under an Arctic ice cap killed two British sailors and injured
a
crewmember.
という新聞記事の場合を考えましょう。まずキーワードをハイライトしてください。
ANCHORAGE LONDON (AP) - An explosion aboard a nuclear-powered Royal Navy
~~~~~~~
submarine under an Arctic ice cap killed two British sailors and injured
a
~~~~~ ~~~~~~
crewmember.
これで「爆発が殺害し負傷させた」という基本的な意味が分かります。
つぎは killed と injured の対象は何なのかを考えてください。
英語の目的語は動詞のすぐ後に来ます。
つまり two British sailors と a crewmember ですから「爆発が英国水兵2人を殺害し、
乗員1人を負傷させた」となります。
ここで、この水兵と乗員は何に乗っていたのだろう、と好奇心を働かせるのです。
そうすると、An explosion の後の部分が「爆発」を説明していることに気がつきます。
An explosion aboard a nuclear-powered Royal Navy submarine の aboard は「船に
乗って」という意味ですから、軍艦の場合は「艦内」と訳すのが良いでしょう。
「英国海軍原子力潜水艦の艦内爆発」となります。
最後に「潜水艦」という名詞そのものにもさらに説明がついています。
Submarine under an Arctic ice cap も後の部分が説明ですから「北極の極冠の下の潜水艦」
が直訳です。
ここから後は日本語の豊かさがモノを言います。
「爆発が水兵を殺害し、負傷させた」は不自然ですから、ここは意訳して「爆発によって水兵
2人が死亡、乗員1人が負傷した」としましょう。
全訳は「北極の極冠下を潜行中の英国海軍原子力潜水艦の艦内爆発で、英国水兵2人が死亡、
乗員1人が負傷した」で完璧です。
次も同じように訳してみましょう。
The forward compartment of the submarine was damaged in the explosion
but
the British Ministry of Defense said its nuclear reactor was not affected.
「潜水艦の前の部分が損傷を受けました」「原子炉は影響されなかった」というのがキーワード
の意味です。
これに in the explosion(この爆発で)と but the British Ministry of Defense said
(しかし英国国防省は◯◯と語った)を付け足してやればいい訳です。
以上は最近の出来事の新聞記事ですが、レベル2では熟知している分野のマニュアルのようなも
のも大筋で理解できなければなりません。
軍には Field Manual(FM)と言うものがあります。
装備の使用法、整備法、任務の手順などを説明した手引き書のことです。
次はM16小銃の取り扱いを読んでみましょう。
Perform a function check on an M16A rifle.
(M16小銃の機能検査を行なう)
a. SAFE: Pull the charging handle to the rear and release. Place the
selector on
SAFE (Figure 90). Pull the trigger; the hammer should not fall.
(安全:装てんハンドルを後ろまで引き、放す。セレクターを安全にセットする。引き金を引
く。撃鉄が落ちてはならない)
b. SMEI: Place the selector on SEMI (Figure 91). Pull the trigger and
hold to the
rear. The hammer should not fall. Continue to hold the trigger to the
rear, pull
the charging handle to the rear and release it. Release the trigger
with a slow,
smooth motion until the trigger is fully forward. The hammer should
not
fall. Pull the trigger. The hammer should not fall.
(半自動: セレクターを半自動にセットする。引き金を引き、そのままにする。撃鉄が落ち
てはならない。引き金を引いたままで装てんハンドルを引き、放す。引き金をゆっくり元の
位置まで戻す。撃鉄が落ちてはならない。引き金を引く。撃鉄が落ちてはならない)
c. AUTO: Place the selector on AUTO (Figure 92). Pull the charging handle
and
release. Pull the trigger and hold to the rear; the hammer should not
fall. Pull
the charging handle to the rear and release. Release the trigger and
pull it
again; the hammer should not fall.
(全自動:セレクターを全自動にセットする。装てんハンドルを後ろに引き、放す。引き金を
引き、そのままにする。撃鉄が落ちてはならない。装てんハンドルを後ろに引き、放す。
引き金を戻し、もう一度引く。撃鉄が落ちてはならない)
なんとも味気ない文章ですが、使用説明とか手引き書はどれもこのようなものです。マニュアル
を読むためには、その分野の専門用語が不可欠ですから、現在の自分の仕事や将来やってみたい
分野の特殊な語彙(ごい)は今から英語で覚え始めたほうが無難です。
例えばこの文章では、SAFE(安全:発砲不可)、SEMI(半自動)、AUTO(全自動)、charging
handle(装てんハンドル)、trigger(引き金)、hammer(撃鉄)が分からないと理解しよう
がありません。
しかし、個々の単語が分かっていれば、文章そのものは簡単です。高校卒の新兵を対象として書
かれているからです。
すべて命令形ですが、これは動詞の原形で訳すと自然な文章になります。
Should not は「◯○してはならない」が無難でしょう。
例文a なら、pull(引く)、release(放す)、place(セットする)、fall(落ちる)という中
学校の英語を知っていれば充分翻訳可能です。
安全(発砲不可):装てんハンドルを後ろまで引いて放す。セレクターを安全:発砲不可にセット
する。(図90参照)引き金を引く。撃鉄が落ちてはならない。
となります。
例文bの
Pull the trigger and hold to the rear.
なら「引き金を引き、後ろでそのままにする」ですが「うしろでそのままにする」が翻訳臭かっ
たら「そのまま引き続ける」で綺麗な日本語です。
例文cも、aとbの応用で対応可能です。
手引き書や使用説明書では、現物を見たことがあり、使い方を知っていれば翻訳は見違えるほど
やさしくなります。個人の必要に応じて今から準備しておいてください。
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