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◆【軍隊式英会話術】 vol.40
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超音速ジェット搭乗-1(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-4) Takashi Kato
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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
昨年4月にスタートしたこのメルマガももうすぐ1年。現在、このメルマガをもとにした単行
本を出版しようと準備を進めています。タイトルなど未定ですが、決まりしだい順次報告いた
します。
(加藤喬)
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40時間目 超音速ジェット搭乗-1(海軍サバイバル訓練で鍛えよう-4)
海軍航空基地(Naval Air Station)にやってきました。滑走路(runway)の脇にある格納庫
(hunger)に出向いてください。
天井が高い広大な建物の中には、各種の航空機や整備機材が並べられています。機体側面の点検
パネルを開け、整備兵(aircraft mechanic)が点検中の機体もあります。
"Welcome to our Fighter Attack Squadron!"
(戦闘攻撃機中隊へようこそ!)
大尉が奥からやってきて手を差し出してきました。彼女は航空医官(flight surgeon)なので
今日はツナギの飛行服に身を包んでいます。航空尉官は医学博士(Medical Doctor: MD)で、
パイロットなどの飛行資格を審査する航空身体検査(flight physical)を行ないます。
胸や肩に色とりどりのパッチをつけた大尉の飛行服姿は凛々しく(dignified)、私服のときと
は違った色気(different sexual appeals from the civilian clothes)があります。
"Come this way. We need to adjust a speed jeans for you before taking
off"
(こちらへ来て。飛行前に対Gスーツを合わせます)
並んで歩いていると、
"Thank you for the drink last night. It was enjoyable"
(昨晩はごちそうさま。楽しかったわ)
大尉がウインクしながら言いました。知的女性(intelligent woman)の笑顔と飛行服のアン
バランスにぐーっと惹かれますね。
"You are very welcome. Likewise"
(どういたしまして。ぼくも楽しかった)
Likewise(同じように)とは良い返事を選びましたね。英語がこなれてきた証拠です。堪能な
英語は知性のある女性に好かれます。
"These petty officers will help you get ready. I will be waiting
for you out there"
(この下士官たちが準備をしてくれます。わたしは外で待っていますから)
"I will take care of him, lieutenant"
(お任せください、大尉殿)
大尉の声に、年季の入った下士官(seasoned petty officers)たちが答えます。女性医官に
対する尊敬(respects)と忠誠(loyalty)の気持ちが感じられます。 "You are in good hands"
In good hands というのは「頼りになる手の中にいる」というイメージですね。つまり「安心
して任せて」と言うことです。
"Please choose a snug-fitting speed jeans"
兵曹(petty officer)がラックにかかっている何十着もの対Gスーツを指差しています。
Snug は「快適な」とか「身体に合った」の意味です。パイロットの俗語(slang)ではスピ
ードジーンズでしたね。
戦闘機(fighter)が旋回する(turn)ときなど、乗員(crew)には大きな加速度(G-forces)
がかかります。この場合、そのままだと血液が脳から足に流れてしまい失神(pass out)します。
これを少しでも遅らせるための装備が対Gスーツで、腰周りと両足に空気袋がついています。
Gがかかるとこれらが膨らみ、血液が下半身にたまるのを防ぐのです。血圧を測るときに腕に
巻くバンドのようなものだと思ってください。
当然、ゆるめだとぜんぜん効果がありません。
Snug-fitting は「快適な」よりも「身体にぴったり合った」とか「少しきつめの」と考えた
ほうが良いでしょう。
"Please try a few different sizes of helmet. If it's too tight,
you will have a
headache. If too large, a mask won't fit and leaks oxygen"
(いくつかサイズの違うヘルメットを試してください。きつ過ぎると頭が痛くなります。大きす
ぎるとマスクがフィットせず酸素が漏れます)
これはHGU-55という最新型のヘルメットです。バイザーの取り付けも金具ではなく伸縮性
のバンドになっています。前のタイプではあった、バイザー保護用の覆い(visor housing)
も省かれ、徹底的な軽量化が図られています。これもGフォースに対応するためです。
今日の主力戦闘機(mainstay fighter)は空中戦(dogfight)で9G〜10G旋回
(9-10G turn)を維持する(sustain)ことがあります。これは身体や装備(the body and
equipments)が9倍の重さになると言うことです。
頭に載せるヘルメットが9倍の重さになれば首にかかる重圧(pressure)は相当なものです。
100グラムでも200グラムでも軽ければ、瞬時の判断が勝敗を分ける空中戦時に、頭部の
負担が1〜2キロも違ってくるのです!
兵曹たちが対Gスーツの紐を締め上げて調節してくれました。これでG-フォースに対する対応
は万全です。しかし知らない人が見たら、まるで夜会に出る淑女がコルセットをつけてもらって
いる図に見えたかもしれません。
"You look like a Samurai armed to the teeth!"
格納庫から出てくると、大尉が笑顔で迎えてくれました。
"You look like a Samurai" (サムライみたい)は分かるとしても、"armed to the
teeth"
とはどういう意味でしょうか? Arm は動詞として使うと「武装する」の意味になります。
「歯まで武装されている」は文字通り「身体のいたるところまで」つまり「完全武装」の意味
なのです。
「完全武装のサムライ」とは言いえて妙(nicely put)です。今日の戦闘機乗り(Today's fighter
jocks)も、頭からつま先まで鎧兜の武士のように防護されています。刀こそありませんが、
実戦なら緊急脱出後に備え拳銃(sidearm)を携帯します。もちろん拳銃は持っていないより
は良い、という心理的な保障(psychological assurance)にすぎませんが。
"You didn't eat anything, did you?"
(何も食べなかったでしょう?)
"No, I didn't. As you suggested"
(言われたとおり、何も)
大尉は昨晩、別れ際に言いました。
"If you throw up in the mask, you clean it. So don't eat anything
before the flight"
"Throw up" は "vomit" (吐く)の俗語で「上げる」ということです。(もし酸素マスクの中
に吐いたら自分で洗うのよ。だから飛行前には何も食べないこと)
"Good, soldier. I will buy you a drink this time"
(よろしい。 今度はわたしが一杯ご馳走するわ)
"That's nice"
(良いですね)
"Provided you can keep standing......"
(もし立っていられたらね……)
"What do you mean?"
(どういうことですか?)
"Just kidding. You will be all right. Enjoy the flight"
(冗談よ。大丈夫。フライトを楽しんで)
"Roger that, lieutenant"
(了解です。大尉殿)
敬礼(salute)も様になってきました。 では、サムライ魂(Samurai spirit)を見せてやっ
てください。
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