元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.45

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◆【軍隊式英会話術】 vol.45
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アラスカ冬季訓練で鍛えよう(2)                         Takashi Kato
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45時間目 アラスカ冬季訓練で鍛えよう(2)

"Look at that moose! Delicious!"
(あのヘラジカを見て!美味しそう!)

猫柳が群生したあたりから、ばちを打ち合わせるような乾いた音が聞こえます。
ヘレナの指差す方向を見やると、馬ほどもある強大な動物(mighty animal)がたたずんでいます。ばちと聞こえたのは、扇形の角(antlers)を柳の枝にこすりつけるときの音です。

"Delicious? What do you mean by that?"
(美味しそうだって?どういう意味?)

"I want to shoot him. That's what I meant"
(撃ちたいって言うことよ)

ヘレナはアラスカのブッシュ(Bush:僻地)で育ったうえ、勇猛で知られた バイキング(Viking: 北方ゲルマン族)の血を引いています。
父親はブッシュパイロット(Bush pilot: 辺境を飛ぶパイロット)で、幼いころから狩猟で糧を得てきました。
彼女にとって、脂の乗ったヘラジカは日本人の目に映る、照りの良いマグロと同じに違いありません。

"Can you hit it?"
(当てられる?)

"Easy. Just 100 meters"
(簡単よ。100メートルしかない)

"You are something else"

ヘレナにぴったりの表現を使いましたね。Something else とは「何か普通とは違ったもの」つまり「すごい人」。口語にすれば「キミってすごいな」ですね。

"But M16 rifle is really too small for that game. I need my 30-06 bolt action rifle for a clean kill"
(でもM16小銃はあの獲物には小さすぎるわ。1発で射止めるにはわたしの30-06口径ボルト式ライフル銃が要る)

"Besides, we have just blanks today"
(それに、今日は空砲しかもってないしね)

"You are right on that"

ヘレナが狩人の目を獲物(game)からはずしながら同意しました。right on that は「誰々の言うことが正しい」です。もっと自然な訳なら「そうね」とか「その通り」でしょう。

"Fall in, people!"

軍曹の号令です。 people は普通は「人々」とか「国民」ですが、部下などの総称としても使われます。この場合は「全員整列!」でいいでしょう。

"Who are from Lower 48?"

Lower 48? 軍曹が耳慣れない表現を使いました。直訳すると「より低い48」で意味が通じません。
実はこれは、アラスカの住人が自分の州以外の米国本土(Continental United States: CONUS)を指すときの言い方なのです。
つまり、アラスカよりも低いところにある48州のことです。全米の州は50ありますが、ハワイ州は米国本土外(Outside Continental United States: OCONUS)なので除外してあるのです。(誰がアラスカ州以外から来たのか?)

ヘレナ以外の全員が手を上げました。

"Among you, who knows how to set up a rabbit snare?"
(きみたちの中で、誰がウサギを獲るワナの仕掛け方を知っているか?)

私たちはお互いの顔を当惑げに見合い(looked at each other embarrassed)、そして視線は自然とヘレナの方に流れていきました。

"You city folks can't survive in the wilderness. O.K. Cadet Erickson, show them how"
(きみたち都会人は荒野では生きていけないな。よし、エリクソン候補生、ワナの仕掛け方を教えてやってくれ)

City folks と呼ばれてしまいましたね。フォークダンスやフォークソングの folk で「人々」の意味です。都会(city)の人々、つまり「都会人」ですね。

"First make a loop like so"

軍曹に渡された針金で、ヘレナは器用にループを作りました。Like so は「このように」の慣用句です。(まずこのようにループを作って)

"Make sure the loop is big enough for a rabbit's head to go in"
(ループはウサギの頭が入るだけの大きさにしてください)

Make sure は辞書で引くと「確認する」となっていますが、口語では「必ず〜する」に近いでしょう。

彼女は近くの木の枝を折って、ナイフで一端を削ります。

"Then attach the wire to this stick"
(それから針金をこの枝に固定して)

"Now, let's find a rabbit's trail"
(じゃあ、ウサギ道を探しましょう)

しばらく歩くと、ヘレナが雪の地面を指差しました。

"Here it is!
(あったわ!)

しかし、そこは何の変哲も無い雪面にしか見えません。都会人たちは、互いに顔も見合わせるばかりです(The city folks just looked at each other)。

"Place the snare in such a way that a rabbit's head will go in"
(ウサギの頭がちょうど入るようにワナをしかけて)

ヘレナは顔を雪に押し付けるようにして、慎重にワナの高さを調節しています(adjusting height of the snare carefully)。狩人の技(trapper's art)です。

"Make sure to block the other path with twigs so that the rabbit will come into the snare"
(ウサギがワナに行くように、小枝で他の道を塞いで)

"O.K. That's it. Tomorrow morning, we will have roasted rabbit for breakfast! Yummy!"
(はい、これで出来上がり。明日の朝食は焼きウサギ!おいしいわよ!)

翌日、氷霧(ice fog)の舞う朝日の中をワナに向かうと、かなり大きい野ウサギが倒れていました。氷点下20度の冷え込みで、すでに凍っています。
ヘレナが都会人の顔を1人1人見つめてから、おもむろに折りたたみ式のナイフを軍服のポケットから取り出しました。獲物解体用の鋭利なもので、官給品(Government Issue: GI)ではありません。使い込まれた私物(well-used personal effects)です。

"I will start a fire then"
(じゃあ、ぼくが火を起こす)

インテリタイプの候補生が志願しました。血を見たくないようです。

"First, skin him like so"
(まず、こうやって皮をはいで)

日本語でも「皮膚」を意味する skin は動詞では「皮を剥ぐ」になります。

"Next, gut him"
(次にはらわたを抜いて)

同様に「内臓」を意味する gut も動詞では「内臓を取る」です。

"Don't puncture the intestine. That will be messy. The trick is to remove the whole digestive tract as one piece, you know"
(腸に穴を開けないで。汚くなるから。消化器を丸ごと取り除くのがコツなの)

日本語で「パンクする」と言いますね。これはタイヤに穴があくということです。
もっともこの意味では got a flat tire (タイヤがぺちゃんこになった)の方をよく使います。

"Now, wrap it in the aluminum foil"
(そじゃあ、アルミホイルで包んで)

"Leave it in the fire for 10 minutes and it will be done!"
(火の中に10分置いて出来上がり!)

しばらくして取り出し、アルミ箔を解きます。立ち上る湯気に顔も近づけ、ヘレナはうっとりとした表情で香りを堪能しています。

"It smells yummy, doesn't it?"
(美味しそうな匂いでしょう?)

都会人たちは半信半疑の笑顔(dubious smile)です。ヘレナが気が付き、

"If it smells too strong, use some sold and pepper from your MRE packet."
(匂いが強すぎたら、携帯食料の塩と胡椒を使って)

言われたとおり調味料をかけ、銃剣(bayonet)で小片を切り取って食べてみます。
うーむ。お世辞にも美味とは言えない代物です。MRE(Meal Ready to Eat)の冷たいシチューのほうが良いくらいです。そんな都会人にはお構いなく、バイキングの子孫はナイフで巧みに肉を削ぎ、平らげています。

見目麗しいヘレナが ( Beautiful Helena) 突然頼もしくも見えてきました(started looking confident too)。美少女の外見をまとった狩人(a hunter in beautiful girl's skin)にグーッと惹かれます(strongly enchanted)。

"I wonder what it would be like to live with this woman......."
(この女性と一緒に暮らしたら、どんなものだろう)

"I would never let you be bored, of course"
(もちろん退屈なんてさせないわ)

独白(talking to myself)が聞こえたのか、ナイフの手を休めたヘレナが言いました。剣先でヘルメットを押し上げる仕草(the way she pushes up her helmet with the tip of the knife)は、バイキングの女王(Viking Queen)です。

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