元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.29

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◆【軍隊式英会話術】 vol.29
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銃が故障したら                       Takashi Kato
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29時間目 銃が故障したら

 "Left side, clear?"
 (左側、障害物、人影は?)

左端のセイフティオフィーサーが白いパネルを上げます。Clear(なし)の意味です。

 "Right side, clear?"
 (右側、障害物、人影は?)

右端でも白パネルが上がります。

 "The range is clear. Shooters may go downrange and check the targets"
 (射場に人影障害物なし。射手は標的をチェックしても良い)

では、友人と一緒に標的をチェックしに行ってください。

 "You have a tight group!"

友人が使った groupというのは、射撃の場合、弾痕のまとまり具合のことです。
Tight は「きつい」の意味ですから、弾のまとまりが良い、というほめ言葉です。

 "Aim a little more to the left and up"
 (もうちょっと左上を狙って)
 "Thank you. I will try"
 (ありがとう。やってみます)

おや、射場スピーカーのスイッチが入りました。アナウンスがあるようです。よく聞いて
ください。

 "Stay behind the red line during cease fire! Do not handle weapons now!"
 (撃ち方やめの間は赤い線の後ろに立って!銃に触らないで!)

セイフティオフィーサーの警告です。この場合、handle(扱う)は touch(触る)と同じ
です。赤い線の内側に入って銃に触ろうとした者がいたのです。

アメリカで射撃をたしなむ人々は、安全には厳格です。銃器のプロが多い軍隊の射場なら
なおさらです。読者も気をつけてください。
では「撃ち方はじめ」の指示を待って再び射撃にかかりましょう。

 "The range is clear. Shooters may return to the benches and commence firing"
 (射場に人影、障害物なし。射手はベンチに戻って撃ち方はじめ)

前回と同じく安全規則にしたがって射撃してください。

 Bang! Bang! Bang!

快調ですね。グループも良いようです。

おや、引き金が引けなくなりました。どうしたのでしょう?
友人に助けてもらってください。

ちょっと待って!話しかけるとき、体ごと友人の方を向くと銃口が回りの射手に向いてしま
います。顔だけ後ろに向けてください。

 "Something is wrong with the gun"
 (銃がおかしいんだ)

そうです。「調子が悪い」の意味の wrong を使えば良いですね。
Something is wrong with......という句として覚えてしまいましょう。
.....with a car, computer, him/her(車・コンピューターの調子が悪い、彼・彼女は少し
変だ)のようにいろいろと応用が利きます。

 "O.K. Keep pointing the gun at the downrange"
 (分かった。そのまま銃を標的のほうに向けて)

Keepには「続ける」という意味があります。そのあとに動詞をつけると「……し続ける」
になります。
ですから keep eating/studying/running/pointing 「食べ続ける・勉強し続ける
・走り続ける・向け続ける」のように使えます。

ただ、「向け続ける」は射撃の場合ちょっと不自然ですから「そのまま銃を的に向けて」
にしましょう。

 "The finger off the trigger, right?"
 (引き金から指を離すんだね?)

安全ルールが身についてきましたね。
Way to go!(その調子です!)

 "Yes. I see. It jammed"
 (そうだ。なるほど、ジャムしたな)
 "Jammed? What do you mean?"
 (ジャムした?どういうこと?)

Jam は日本ではパンに付けるもので名詞ですが、動詞として使うと「詰まる」とか「動か
なくなる」の意味になります。射撃の場合は「回転不良」と訳します。

 "The ammo was not powerful enough to cycle the gun"

Cycle は日常会話では「自転車に乗る」とか「循環する」の意味ですが、ここでは「撃発→
排莢→装てん」という自動銃のサイクルのことで、「回転する」と訳します。
not powerful enough は直訳すれば充分に強力でない、つまり「力が足りない」の意味で
すね。
ですから「弾薬に銃を回転させる力がなかった」となります。

 "Look! The shell is sticking up like a stove pipe. That's why it is called 'stove
  pipe jam"
 (見てみろ。薬莢がストーブの煙突みたいに突き出しているだろう。だからこれを「煙突
  回転不良」と言うんだ)
 "Roger that. How do I cycle the gun now?"
 (了解。じゃあ、どうやって銃を回転させるのかな?)

友人の使った言葉をさっそく応用しましたね。耳が慣れてきた証拠です。Way to go!

 "First, pull back the slide and lock it there by pushing up the slide stop"
 (まず、スライドを引いてスライドストップを押し上げてロックする)
 "Roger that"
 "Then, remove the magazine. The empty shell will drop"
 (それから弾倉を抜く。空薬莢は下に落ちる)
 "Yes, it did"
 (落ちたよ)
 "Well then, insert the magazine. Pull the slide back and start shooting again"
 (じゃあ、弾倉を入れて、スライドを引く。また撃ち始めて)
 "Roger. Thank you"
 "You bet"
 "You bet? Bet what?"
 (賭ける?何を賭けるんだ?)

無理はありません。それが辞書に最初に出てくる bet の定義ですからね。ところが日常会話
では「どういたしまして」という意味にもなるのです。

また bet は You can bet money on (賭けてもいい)という本来の意味の省略で
of course (もちろん)の代わりにも使えます。教科書には出てこない慣用表現ですから、
覚えておけば便利です。

 "Oh, I see. I mean you are welcome"
 (ああ、どういたしまして、と言う意味だよ)

実際に何かを成し遂げながら英語を学ぶことぐらい楽しいことはありませんね。
これからもそうしましょう。

(Let's keep it that way)


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