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◆【軍隊式英会話術】 vol.49
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砂漠の嵐(2) ? ? ? ?Takashi?Kato
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49時間目 砂漠の嵐(2)
"Company、Attention!"(中隊、気をつけ!)
中隊軍曹(company?First?Sergeant)の号令に総勢120名近い兵隊が直立不動
(position?of?attention)の姿勢をとります。
軍靴(military?boots)のカカトがいっせいに触れあう音が、広場にこだまします。
中隊軍曹が回れ右(about?face)をしました。全員がこちらを向いています。
では、ゆっくりと軍曹のところまで左から歩いていってください。
軍曹の前に来たら「左向け左」(Left?Face)をします。ここが見せ場です。キレの
ある動作(sharp?movement)は兵隊たちに尊敬(respects)と信頼(trust)をいだ
かせます。
中隊軍曹が敬礼しました。敬礼をかえしてください。
"Commander,?the?company?is?ready.??Cheer?them?up,?sir"
(中隊長殿、中隊は準備完了です。元気をつけてやってください)
"Thank?you,?Top.??I?will"
"Top"?は中隊軍曹の愛称です。一番上の下士官の意味です。
敬礼を落とすと、軍曹が中隊の後ろに下がりました。兵たちに話し始める前に「休
めの姿勢」(Parade?Rest)を命令します。
"Good?morning,?soldiers!"
"Good?morning,?sir!"
百人を超える兵士の声には、いつもなら心を揺さぶられる迫力があります。しかし、
このところたしかに張りがありません。
整列前の中隊軍曹との打ち合わせで、米国からの郵便が1週間ちかく届いていない
ことを知らされました。
ブーツキャンプや海外駐留中は、家族や友人知人からの手紙や小包が将兵たちにと
って毎日を生き延びる目標だと言っても過言ではありません。
インターネットや携帯電話が当たり前になった今日でも、瞬時にスクリーンに現れ
るメールと実際に海を渡ってくる手紙ではありがたみが違います。
愛する人が実際にしたためた肉筆(hand?written?letter)は、孤独(loneliness)
、絶望(despair)、恐怖(fear)など、戦場につきものの感情を癒してくれます。
たたんで胸のポケットやヘルメットの内側に忍ばせておけばお守り(charm)にも
なるでしょう。
手作りのクッキーが入った小包には、デジタル化されたメッセージとは比べものに
ならない絆(bond)があるのです。
戦地で1カ月郵便が途切れると反乱(mutiny)が起きると言いますが、まんざら冗
談ではないでしょう。
では、落ち込んでいる兵隊(discouraged?soldiers)たちになんと言いますか?
ここでも率直な言葉が一番です。実行できない空約束(empty?promise)は逆効果
(counterproductive)です。
"Soldiers,?I?am?proud?of?you.??Each?and?every?one?of?you"
(ソールジャー、キミたち1人1人を誇りに思っている)
完璧な出だしです。兵たちに近づき1人1人の目を見て話してください。
"You?are?here?in?the?desert?risking?your?own?life?so?that?your?loved
?
ones?are?safe?back?home.??I?salute?you?for?your?courage?and?dedication"
「危険を冒す」は日本語にもなっているリスク(risk)で良いですね。"salute"?
は敬礼とか敬意を表するという意味です。この場面では両方です。
(諸君は国に残してきた愛する人々が安心して暮らせるように、砂漠で命を懸けて
いる。その勇気と献身に敬意を表する)
"I?know?that?letters?from?home?are?very?important?for?you?to?feel?connected.
???
First?Sergeant?told?me?that?we?have?not?had?a?mail?call?for?a?week"
"Mail?call"?は軍曹が行なう郵便物の配布のことです。
(家族との絆を保つために、手紙がどれほど大切かは分かっている。中隊軍曹が、
郵便配布が1週間ないと知らせてくれた)
"So?I?decided?to?send?Staff?Sergeant?Saunders?to?the?main?APO?in?Dhahran.
???
I?instructed?him?not?to?come?back?until?he?gets?our?mails"
APOとは?Army?Post?Office?のことで、海外駐屯中の部隊への郵便を扱います。ダハ
ランはサウジアラビアの湾岸都市です。
(そこで、サンダース二等軍曹をダハランの陸軍郵便局に送ることにした。軍曹に
は我々の郵便を手に入れるまで戻ってこないよう指示した)
"Thank?you,?Sir!"
百人超の兵たちがいっせいに叫びました。雄たけびのようです。希望(hope)と気力
(spirit)が若者たちの顔に戻りました。
異国の砂漠でいつ終わるとも知れない任務に明け暮れる兵たちが、それほど国からの
便りを待ちわびているということです。
"Company,?attention!??First?Sergeant!"
"It's?all?yours,?Top.??Carry?on"
(中隊曹長、部隊は任せた。任務続行せよ)
"Roger?that,?Sir.??By?the?way,??thank?you?for?taking?care?of?the?mail
?
situation.??Men?knows?you?care?about?them"
(了解です。ところで郵便の件を取り計らっていただきありがとうございます。
兵たちは大尉が親身になって考えてくれていることを知っています)
"You?are?welcome,?Top.??That's?my?job?to?take?care?of?them"
(もちろんだ、中隊曹長。それが仕事だ)
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