元米軍大尉が教える!!軍隊式英会話術
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元米陸軍大尉が教える!![軍隊式英会話術]
   
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【軍隊式英会話術】 vol.37

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◆【軍隊式英会話術】 vol.37
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海軍サバイバル訓練で鍛えよう(1)              Takashi Kato
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37時間目 海軍サバイバル訓練で鍛えよう(1)


"NAVY helo are top-heavy"

細身の女性海軍大尉(slender female NAVY lieutenant)が切り出しました。
彼女は、海軍航空生理学研究所の教官(instructor at the NAVAL Aviation Physiology
Laboratory)です。

海上すれすれ(sea level)から高高度(high altitude)を飛ぶ海軍機(Naval aircrafts)
のパイロットや乗員の訓練をするところです。
陸軍人でも、海軍機に乗る場合はこの訓練に合格しなければなりません。

Helo はヘリコプターの軍隊用語(military term)です。ヘリと呼ぶような感じでしょう。
Top-heavy は文字通り「上が重い」つまり「頭でっかち」とか「不安定」と言う意味です。
例えば「あの車は重心が高くて不安定だ」と言うときなど "That car is top-heavy" と言
えば済みます。便利な表現でしょう?

もっとも女性の形容に使うと「胸が豊かだ」という意味になりますから気をつけてください。

" When a helo ditches, it quickly tips over and sinks"

Ditch は溝とかドブの名詞です。動詞になると車などが溝に落ちるという意味になります。
海軍では不時着水することです。

Tip は傾くことで、これに「超えて」の over をつけると「ひっくり返る」
になります。

つまり(海軍のヘリが不時着水すると、たちまちひっくり返って沈む)というのです。なに
やら穏やかでない話(disturbing possibility)です。

 "You must be able to egress from this upside-down helo quickly and in the dark"

Egress は Escape と同じで「脱出する」ことです。
Upside-down は文字通り「上が下になる」つまり「逆さまになった」の意です。
(逆さまになったヘリから素早く脱出できなければならないのですしかも暗闇の中で)
暗闇でというのは機体が転倒してエンジンが停止すると照明(lighting)が消え、また水没
したヘリの小さな窓からは、たいして光が入ってこないからです。

 "You must stay oriented"
 (自分の位置を確認しておくこと)
 "Stay oriented? What do you mean by that, ma'am?"
 (それはどういう意味ですか、大尉殿?)

若い水兵が聞きました。By that は「大尉が言ったこと」を意味します。
つまり、「位置を確認しておくとはどういう意味ですか?」です。
これは日常生活のなかでもよく使う便利な表現ですから覚えておきましょう。
By のあとに分からない言葉や句を持ってくればいいのです。

「時間がなかったもんだから」と弁解する相手に「時間がなかったってどういう意味だ?」
と詰め寄るときなど、

 "What do you mean by you didn't have time?"

というように言えばいいのです。

 "When a helo flips over, you become disoriented. So you must be consciously
  aware of the locations of the emergency exists. That's easier said than done!
  If you panic, you die"

Disoriented は「混乱する」「狼狽する」ですが「方向が分からなくなる」という含みもあ
ります。
Be aware of は「確認する」とか「知っておく」ですね。これに Consciously をつけると
「意識して確認する」になります。

"easier said than done"は慣用句で「言うは易し、行うは難し」です。
つまり大尉は「ヘリがひっくり返ると、混乱して方向が分からなくなります。非常口の位置を
意識して知っておくことが必要です。これは言うほど簡単なことではありません!パニックを
起こせば死にます」と注意を促したのです。

 "Once outside the helo, watch bubbles. Go up with the bubbles"
 (ヘリの外に出たら、泡を見ること。泡と一緒に浮き上がるのです)
 "Roger that, ma'am"
 (了解です、大尉殿)

いかにも水泳に自信のありそうな大男の水兵(big sailor)が答えました。

 "We will see, sailor"
 (すぐ分かるわ)

大尉が眼鏡の奥から水兵を見つめて言います。知的な碧眼(intelligent blue eyes)はきわめ
て実務的(no-nonsense)です。

見上げる体躯の男性(large-bodied male)にもまったく物怖じしません(not scared)。
化粧っけのない顔(natural face)ですが、よく見るとセクシーな図書館員(like a sexy
librarian)みたいです。

脱出訓練用プール(The Egress Dunk Pool)はオリンピックプールの三分の一はある巨大な
水槽で、深さも7〜8メートルあります。

一方の端に、大きな円筒状のものがクレーンに吊るされています。これがヘリのシュミレータ
ーで dunker(水に浸るもの)と呼ばれます。
学生はこの中に乗り組んで座席に座ります。

着水と同時にヘリは360度回転し、そのまま底まで沈みます(sink to the bottom)。
10秒経って動きが停止したところで安全ベルトをはずし、非常口(emergency exits)か
ら脱出するものです。

水底には何人ものダイバー(divers)が待機して学生の安全を確保しています。
このように書くと簡単に聞こえますが、厳格な安全管理下(In a controlled environment)
とはいえ、機体内に水が流れ込んでくるときの恐怖感 は本物です(Fear is real)。
また、水没してから逆さまになると(When upside down underwater)右も左も分からな
くなります。混乱はパニックを誘発します(Confusion leads to panic)。

大尉が "Be consciously aware of the locations of emergency exists" と言ったのには
それなりの理由があるのです。

"Watch the bubbles!" も同じです。サーフィンやダイビングでも、水中でパニックを起こす
と、浮上するつもりが深みへと泳いでいってしまうことがあるからです。

 "O.K. Folks, Let's get rolling. Showtime!"
 (良いわね、みんな。始めましょう。本番よ!)

大尉が学生に向かって言います。
Folks は仲間内で使う呼びかけです。先ほどの水兵もすでに笑ってみせる余裕はありません
(the sailor can't afford to smiling any more)。
緊張しているのです(he got tensed up)。

 "I am scared. Aren't you?"
 (怖いんだ。きみは?)

水兵が聞いてきました。正直に答えてください(answer honestly)。

 "Yes, me too"
 (ああ、ぼくもだ)
 (ええ、わたしもよ)

これを大尉が聞きつけました。

 "Just don't panic, o.k.? If you don't, then, anyone can hold one's breath for 20 seconds.
  That's long enough to exit and surface"

大尉の言葉はどういう意味でしょう。
"Panic" は日本語にもなっています。"Hold one's breath" は「息を止める」ですね。
つまり「パニックを起こさないこと。いいわね?パニックさえ起こさなければ、誰でも20秒ぐ
らい息を止められます。脱出して浮上するのに充分すぎる時間です」と元気付けてくれたのです。
こうなったら (When it comes to this)、陸軍空挺隊員の意地を見せるしかありません(Show
backbone as the Army Paratrooper)。

ヘリが着水しました。水が前後から鉄砲水のようになだれ込んできます。
まだベルトははずさないで。流されて危険です。機体がひっくり返りました。

ベルトを外してドアの位置を確認します。光の来る方向を見るのです。胸が急に締め付けられ、
もがきたくなったらパニックが起きかけている証拠です。落ち着くのです(Relax/Calm down)。
頭の中で "Don't panic. Look at the door. Watch bubbles" と言い続けることです。
頭を使い続けることで、パニックが防げます。

  "If I don't panic, I have enough time to exit and surface"
 (パニックを起こさなければ、脱出して浮上するまで充分すぎる時間がある)

そう、その調子です。

 Go to the door following the sailor
 (水兵に続いてドアに行って)
 "Get out and watch bubbles"
 (外に出て、水泡を見て)
 "Go up with the bubbles"
 (泡と一緒に浮かび上がって)
 "Surface!"
 (浮上!)
 "You made it, soldier!"
 (陸軍さん、やったわね!)

プールのふちに立った大尉が、親指を上げるサイン(thumb-up sign)で迎えてくれました。

 "Airborne, all the way!"
 (空挺!)
 "Well done!"
 (上出来よ!)

思わずこっちも笑顔になります。
次回は、高高度を飛ぶ超音速機に乗るためのサバイバル訓練に挑戦です。




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