目 次
はじめに
パート1 犯罪交渉テクニック 9
暴力犯罪者の心理を読む 10
危険を察知するには、まず「常識」を疑え 14
「直感」を頼りに脅威を査定する 20
状況を推測して相手の心理をさぐる 25
暴力犯罪に訴えるための要素とは? 30
犯罪は小さなうちに芽を摘め! 35
犯罪交渉人の手法を用いる 40
危険の兆候なしに近づく犯罪者から身を守る 45
人を疑うことをためらわない 49
「直感」をみがき、窮地を切り抜ける 54
自分の置かれた状況を判断する 59
暴力犯罪者と戦う 64
明確な意思表示で「間合い」を保て 69
相手の側面に回りこんで受け流す 73
目ではなく鼻の周辺を見て話せ 78
しぐさや表情から回避のタイミングをはかる 83
想像ではなく、本物の危険を感じとれ 87
パート2 最終手段としての護身システム 91
交渉術と体術をミックスしたPDSシステム 92
ルールなき犯罪者には自分から戦うな 95
最大の凶器、それはナイフだ 98
すべての動きの基礎は、姿勢にあり 101
ニュートンの法則に学ぶ護身システム 104
人をかんたんに倒すコツとは? 107
自分の身を守る技 110
古人の奥義に学べ 113
リズム感を養え 116
苦痛をあたえずに倒す技―当身技と関節技 118
体の急所 121
パート3 PDS護身システム[基礎篇] 127
基本技1 当身技で相手を倒して逃げる 128
1 相手が胸ぐらをつかんできたら 128
2 相手が胸ぐらをつかんできたら 131
3 相手が殴りかかってきたら 134
4 相手が殴りかかってきたら 137
基本技2 手首関節を攻めて反撃する 140
5 相手が胸ぐらをつかんできたら 140
6 相手が胸ぐらをつかんできたら 143
7 相手が殴りかかってきたら 146
8 相手が殴りかかってきたら 149
基本技3 ヒジ関節を攻めて撃退する 152
9 相手が胸ぐらをつかんできたら 152
10 相手が胸ぐらをつかんできたら 155
11 相手が殴りかかってきたら 158
12 相手が殴りかかってきたら 161
パート4 PDS護身システム[発展篇] 165
発展技1 相手の力に同調して倒す 166
13 相手が手首をつかんできたら 166
14 相手が中袖をつかんできたら 168
15 相手が胸ぐらをつかんできたら 170
16 相手が腕と手首をつかんできたら 173
発展技2 相手の動きに同調して倒す 175
17 ナイフで首筋を脅かされたら 175
18 ナイフで前方から突いてきたら 179
19 ナイフで頭上から切りつけてきたら 182
20 ナイフで横から切りつけてきたら 185
パート5 PDS護身システム[応用篇] 189
応用技 日常品を使って身を守る 190
21 バンダナで凶器を防ぐ1 190
22 バンダナで凶器を防ぐ2 193
23 バンダナで凶器を防ぐ3 196
24 バンダナで凶器を防ぐ4 199
パート6 PDS護身システム[実戦篇] 203
実戦技1 不利な状況での防御法 204
25 胸ぐらをつかんできたら 204
26 正面から蹴りかかってきたら 206
27 背後から首を絞めてきたら 208
実戦技2 PDS式3秒エスケープ 210
28 殴りかかってきた相手を撃退する 210
29 蹴りかかってきた相手を撃退する 214
付録1 PDS自己防衛訓練システム「10の護身法則」 218
付録2 PDS「暴力犯罪の基本チャート」 222
おわりに
【コラム】米国同時多発テロと全日空機ハイジャック 19
[コラム]墜落しかけた機内での「攻撃逃避反応」 63
【コラム】非常時のための整息法 68
【コラム】詐欺師のテクニックを見破る 81
【コラム】ニューヨーク市警の過去二年間の統計――警官を襲撃した事例 96
おわりに
ものごとは内容ではなく、状況から考える――。これが、本書が一貫して主張してきた原則である。最後まで読んでいただければ、暴力犯罪に対する考え方が大きく変わったのではないだろうか。
従来の護身術とPDSとのあいだには大きな違いがあり、犯罪交渉術は、まさにその典型だろう。一般に犯罪交渉とは、暴力犯罪者をいかに説得するか、その会話術と思われがちである。だが、犯罪交渉で重要なのは、話すことではなく、相手の話を聴くことである。犯罪者の目的が何かをさぐり、その心理状態を読みとり、自らの逃げる時間をかせぐためである。相手にできるだけ話をさせて油断させることが最も重要なのだ。
同様にPDS護身システムも、それまでの護身術とは一線を画している。複数の、しかも凶器を持った相手の対処を基本とするPDSのやり方に首を傾げる人がいたかもしれない。一人の敵すら撃退できないのに、複数の敵などとんでもないというのが、その理由だ。
もちろん、その考えは否定しない。だが、現実的に考えれば、一人の相手を中心に防御する術を学ぶだけでは不十分だということがわかる。相手が複数になった場合、冷静に行動できずに心理的に負けてしまうからだ。
そこでPDSでは、つねに複数の相手に対処する訓練を取り入れている。こうした困難な状況に体を慣らしておけば、相手が複数であろうと、落ち着いて対処できる。ましてや相手が一人であれば、一点に全力を集中できるだけに、余裕すらうまれるはずだ。
こうした理論と経験則に基づいて完成したPDSは、現在、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアで使用されている。また国内においてはPDSアカデミーのほか、各地のカルチャーセンターにおいて新しい護身システムとして定着しつつある。
PDSはさらに進化を続け、近い将来、新たなPDSマニュアルとして紹介できる機会もくるだろう。期待していただきたい。
このプロジェクトを支えてくれた方々に感謝したい。真っ先にお礼を言いたいのは、イラストレーターの白山宣之氏だ。何度となくイラストの書き直しをお願いし、ご迷惑をかけたが、満足の行くものができ上がった。撮影に関してはPDSアカデミー共同創始者酒井康嘉氏以下、公認インストラクターの高槻祐士、森崎えいじの各氏が担当した。迫力あり、わかりやすい写真が撮影できたのは彼らのおかげである。
また、ビデオ版『PDSの全て』(BABジャパン:連絡先〇三‐三四六九‐〇一三五)が、本書と同時に発売される。講習会も定期的に開催している。参加希望の方はご連絡いただきたい。一緒にトレーニングできる日を楽しみにしている。
PDS創始者 毛利元貞
毛利元貞(もうり・もとさだ)
暴力犯罪の予測・脅威査定・対策を専門とする(有)モリ・インターナショナル代表。専門家の立場から企業や警備会社に助言し、政策研究所やノーベル平和賞受賞者の身辺警護対策を担当。またストーカー、家庭内暴力などの身近な問題への対応など、一般の相談にも応じ、カルチャーセンターで講習も受け持つ。2002年にPDSアカデミーを創設し、日本、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアにおいて、PDS自己防衛訓練システムを広める。PDSに関しては、本書のビデオ版『PDSの全て』(BABジャパン)、『総合護身術 PDS護身システム<入門編>』(並木書房)がある。また作家としても活動し、主著にテレビドラマ化作品『犯罪交渉人』(角川書店)、『犯罪交渉人 鞍馬天兵』(学研)、『凶悪テロ防衛マニュアル』(青春出版社)など多数。
酒井康嘉(さかい・やすよし)
PDSアカデミー共同創始者。少年期より空手や合気道の武道を学ぶ。「ルールに準じて戦う」武道に疑問を感じ、海外へ修業に出る。アジアや北米・南米大陸を渡り歩きながら、素手や武器を使った格闘術を修得。様々な訓練機関と交流を続けながら、現地で数多い経験則を得る。92年より(有)モリ・インターナショナルにて学び、現在に至る。
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