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はじめに 1

序章 ハイブリッド戦争時代の到来 11

第一節 問題の所在 11
増加する武力行使未満の行動/新たな戦争形態としてのハイブリッド戦争/ハイブリッド戦争
に脆弱な民主主義体制

第二節 ハイブリッド戦争に関する先行研究 13
それは米海兵隊の研究からはじまった/ウクライナ危機以後のハイブリッド戦争研究

第三節 本書の課題─「レジリエンス抑止」能力の向上 23
頻発するハイブリッド戦争/ハイブリッド戦争時代を生き抜くために

第1章 ハイブリッド戦争の理論 29

第一節 否定派・肯定派論争 29
ハイブリッド戦争という定義の問題/否定派──ハイブリッド戦争は意味のない概念だ/肯定
派──ハイブリッド戦争は意味のある概念だ/ハイブリッド戦争概念を肯定する

第二節 概念の誕生と発展 37
米国発の概念/NATOとEUによるハイブリッド戦争研究/ハイブリッド戦争のロシア的理
解/ゲラシモフ・ドクトリン/ロシア的理解を否定する

第三節 ハイブリッド戦争の定義 51
平時でも有事でもない「グレーゾーン」/狭義の定義──グレーゾーンにおけるハイブリッド
戦争/広義の定義──平時におけるハイブリッド戦争/マルチドメイン作戦/廣瀬『ハイブリ
ッド戦争』に対する本書の見解/本書の事例研究の紹介

第2章 ロシアのクリミア併合作戦(二〇一四年)63

第一節 ウクライナ危機前史 63
プーチンのミュンヘン演説(二〇〇七年)/クリミア半島は誰のものか?/非核三原則の中立
ウクライナ

第二節 ウクライナ危機発生 73
EU派市民の抗議デモ「ユーロ・マイダン」/クリミア併合作戦/ウクライナ東部への波及

第三節 ハイブリッド戦争としてのウクライナ危機 80
「ハイブリッド手法」のモデル/経済/政治/情報/軍事

第3章 中東欧のハイブリッド戦争(二〇一六?二〇年)90

第一節 モンテネグロにおけるハイブリッド戦争 90
アドリア海の小国モンテネグロ/モンテネグロのNATO加盟/議会選挙(二〇一六年)
セルビア発のハイブリッド戦争(二〇二〇年)?

第二節 北マケドニアにおけるハイブリッド戦争 101
NATO・CHSTの二番目の派遣先?/先送りされたマケドニアのNATO加盟/ギリシア
のポピュリズム政権/国名変更論争/「バルカンの軍事的中立」を目指したロシア

第三節 ウクライナ西部におけるハイブリッド戦争 113
ウクライナとハンガリーの関係悪化/ウクライナの新しい教育法採択/「パスポート・スキャ
ンダル」/KMKS襲撃事件におけるロシアの影/「スルコフ・リークス」

第4章 米中衝突とハイブリッド戦争(二〇一〇〜二〇年)126

第一節 中国の安全保障観 126
米中衝突論/超限戦理論/混合戦争論

第二節 中国のハイブリッド戦争遂行能力 134
戦略支援部隊/「中国海警」と「海上民兵」/ハイブリッド脅威にさらされる台湾

第三節 ハイブリッド脅威としての中国 140
中国とヨーロッパの協力枠組み「17+1」/中国の5G技術を警戒する/5G安全保障/中国
とNATO

終章 ハイブリッド戦争という難題 151
第一節 同盟の抑止力 151
NATOウェールズ首脳会議(二〇一四年)/NATOワルシャワ首脳会議(二〇一六年)/
NATO組織の再編

第二節 同盟の信頼性 161
ハイブリッド戦争と法的グレーゾーン/ハイブリッド戦争は「侵略」に該当するか?/ハイブ
リッド戦争は自衛権の発動対象か?/ロシアの行動は国際法的に妥当か?/同盟の信頼性をた
めす中露の「探り」

第三節 日本の針路 170
日米同盟の強化と防衛力整備/NATOとの連携強化/ハイブリッド戦争の脅威は続く

おわりに 178
脚注 183
主要参考文献 205

志田淳二郎(しだ・じゅんじろう)
名桜大学(沖縄県)国際学群准教授。1991年茨城県日立市生まれ。中央ヨーロッパ大学(ハンガリー)政治学部修士課程修了、中央大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。中央大学法学部助教、笹川平和財団米国(ワシントンDC)客員準研究員などを経て現職。専門は、米国外交史、国際政治学、安全保障論。主著に単著『米国の冷戦終結外交―ジョージ・H・W・ブッシュ政権とドイツ統一』(有信堂、2020年)などがある。