目 次
はじめに
第一章『孫子兵法』に学ぶ戦略・戦術 9
▼ 戦いの四要素──「我」「敵」「空間」「時間」9
▼ 戦略・戦術・戦法の違い 10
▼ 幅広い意味を持つ「兵」13
▼ 戦略的思考と『孫子』の記述体系 14
▼「IDAサイクル」を繰り返して勝利する 15
▼「戦わずして敵を屈服させるのは善の善なり」17
▼ 戦いに勝つために必要な条件 21
▼ 古今東西で共通する「戦勝の原則」22
▼「奇正」は我にあり、「虚実」は敵にあり 23
▼ 現代にも通用する「勝つための戦術・戦法」25
▼ 用間(スパイ)を駆使して敵の内実を知る 26
▼ 日常業務に、戦略的思考を取り入れる 27
第二章『孫子兵法』が日本に及ぼした影響 31
▼ 焚書坑儒で焼失した『孫子兵法』31
▼ 謎の兵法書『兵法秘術一巻書』31
▼ 魏の武帝・曹操が編纂した『魏武注孫子』32
▼ 継体天皇と『孫子兵法』33
▼ 遣唐使・吉備真備と恵美押勝の乱 36
▼ 日本に存在した「孫武撰『孫子兵法』」38
▼ 秘伝兵法、大江匡房から源義家へ伝授 39
▼『孫子』の兵法を極めた源義経 40
▼ 鎌倉幕府と朝廷の対立 40
▼ 蒙古襲来を切り抜けた若き執権・北条時宗 41
▼ 鎌倉幕府を滅亡に追いやった兵法の天才・楠木正成 42
▼『孫子』の大量流入により「軍師」が登場 42
▼「応仁の乱」は第二の焚書坑儒 43
▼ 日本にも戦国時代がやってきた 44
▼『古文孫子』の出現と竹簡本『孫子兵法』の発掘 45
▼ 孫子日く兵者国之大事也。45
第三章『孫子兵法』全篇を読む 47
第一篇「始 計」47
第一篇「始計」の解説 51
▼『孫子』が前提とする「戦争」とは? 51
▼ 戦争に勝つための三つの判断 54
▼「始めにおいて終りを考えよ」54
▼「廟算」を徹底して行ない、漏れのない作戦 55
▼ 作戦計画に固執せず、機転を利かせて勝つ 55
▼『孫子』と『闘戦経』の「詭道」をめぐる解釈 56
第二篇「作 戦」59
第二篇「作戦」の解説 63
▼「兵を用うるの法」とは? 63
▼ 長期戦を避ける 66
▼ 大東亜戦争における日本の戦費 66
▼ なぜ敵地の一鐘は自国の二十鐘に相当するか? 69
▼ 戦車十乗と戦車十両の違いは何か 69
第三篇「謀 攻」70
第三篇「謀攻」の解説 75
▼ 春秋時代の軍隊の編成 75
▼ 戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり 77
▼ 道義と精兵をもって敵を屈服させる 80
▼ 少ない損失で最大の利益を得る 81
▼「交を伐つ」に二つの解釈あり 82
▼ 敵との兵力差に応じた戦い方 83
▼ 戦略と戦術の関係 84
▼ 小敵の堅きは、大敵の擒なり 85
▼ 君主は良将を選んで任せよ 86
▼ 彼を知りて己れを知れば、百戦して殆うからず 87
第四篇「軍 形」89
第四篇「軍形」の解説 93
▼ 勝は知るべし、而して為すべからず 93
▼「防御」と「攻撃」について 96
▼「道を修めて法を保つ」に二つあり 97
▼ 彼我の態勢を見積り、勝算を得る 98
▼ 時々で変化する「軍の形」99
第五篇「兵 勢」103
第五篇「兵勢」の解説 110
▼ 第四篇「軍形」と第五篇「兵勢」は表裏一体 110
▼「正を以て合い、奇を以て勝つ」に三段階あり 111
▼「奇正」と「虚実」の関係 113
第六篇「虚 実」115
第六篇「虚実」の解説 121
▼「軍形」「兵勢」と「虚実」について 121
▼ 第六篇を貫く大原則「人を致して人に致されず」125
▼ 敵の「虚」を撃つ奇襲 126
▼「虚実の理」と情報の優越 127
▼ 敵情の解明について 128
▼ 兵を形すの極、形無きに至る 129
第七篇「軍 争」130
第七篇「軍争」の解説 139
▼「迂直の計」を知る者 139
▼「風林火山」について 140
▼「変を治むる」と「変化の理」141
第八篇「九 変」142
第八篇「九変」の解説 148
▼「変を治める」をさらに具体化 148
▼「君命に受けざる所あり」こそ「九変」の要 149
▼ いつ敵が来ても大丈夫な物心両面の備え 149
▼ 将の五過とは「智・信・仁・勇・厳」を欠くこと 151
第九篇「行 軍」151
第九篇「行軍」の解説 160
▼ 各篇と軍争・九変・行軍の関係 160
▼ 良好な場所に軍を置く 164
▼ 土地にも「実」と「虚」がある 164
▼ 表面に顕れた事象から真実を推察する 165
▼ 敵を相る―戦場における情報活動 166
▼ 力を併せて敵を料り、人を取る 167
▼ 威厳と愛情を偏ることなく統率する 170
▼ 上下の心を一つにする兵法の真髄 170
第十篇「地 形」171
第十篇「地形」の解説 179
▼ 地形に応じて兵を用いる「地の道」179
▼「支」の地形では先に攻撃したほうが負ける 182
▼『孫子』を知る家康の圧勝に終わった「小牧の対陣」183
▼「敵を知り、己を知る」が主、「地を知る」は補助 185
第十一篇「九 地」186
第十一篇「九地」の解説 197
▼「地形の常」と「地勢の変」197
▼ 最も理想的な「覇王の兵」200
▼ 四つの地形と五つの地勢に応じた九つの戦い方 204
第十二篇「火 攻」205
第十二篇「火攻」の解説 211
▼ 火攻めと水攻めの違い 211
▼「道」において勝利しなければならない 211
▼ 軽々しく軍を動かすことを戒める 212
第十三篇「用 間」212
第十三篇「用間」の解説 217
▼ 七家が一家を支える「井田法」217
▼「間者」と「斥候」の違いは? 220
▼ 敵よりも「先に知る」ことの重要性 220
▼ 君主や将軍の最高の資質「聖智」「仁義」「微妙」222
▼ 千早城の戦いにおける楠木正成の「用間」223
第四章 敵を知り、己を知り、地を知り、天を知る 226
総括篇1 敵を知る 情報と戦略的思考 226
▼ 第一篇「始計」とは、戦略的思考そのもの 226
▼「敵情解明のプロセス」227
▼「七計」により、「敵の道・将・法」を知る 228
▼「廟算」により、「敵の形勢」を知る 228
▼「勢」においては、何よりも「敵の虚実」を知る 229
総括篇2 己を知る 道・将・法を常に治める 231
▼「己を知る」とは、道・将・法を「識る」こと 231
▼ 善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ 232
▼ 兵士らは道義に殉じ、徳政により民心を得る 232
▼ 末端まで編成区分し、指揮・統制手段を徹底 232
▼「正兵」を練成し、「無形の兵」に至らしめる 233
▼ 長期戦を避け、食糧は敵地で調達する 234
▼「戦わずして人の兵を屈する」の極意 234
総括篇3 己を知る 将軍の資質 235
▼ 将は国の輔、国家安危の主なり 235
▼ 智力について 235
▼ 信頼について 236
▼ 仁愛について 237
▼ 勇気について 237
▼ 厳しさについて 238
▼ 将の五危と敗の道 239
総括篇4 地を知り、天を知る 勝ちを全うする 240
▼ 地は、遠近・険易・広狭・死生なり 240
▼ 戦術行動と「地の利」240
▼ 戦うべきと戦うべからざるとを知る 241
▼ 四軍の利―軍を処き、敵を相る 243
▼ 地の道―地形の常 243
▼ 敵を料り、勝を制し、険阨・遠近を計る 244
▼ 五火の変を知り、数を以て守る 244
▼ 九変の術―勝ちを全うする 245
第五章『孫子兵法』と吉田松陰 248
▼ 孫子からクラウゼウィッツまで学ぶ 248
▼ 謀略・知略・計策の三本柱からなる山鹿流兵法 249
▼ 国難の時代こそ皇室中心の精神的武備を重視 250
▼ 西洋の「三兵戦術」を凌駕する松陰の「四兵戦術」251
▼「勝算あり」吉田松陰の黒船撃滅作戦 252
▼ 松陰を「上智の間者」に選んだ佐久間象山 253
▼ アメリカ密航を試みた本当の理由 253
▼ 吉田松陰の思想の根底にあった「用間」255
参考文献 257
おわりに 258
家村和幸(いえむら・かずゆき)
兵法研究家。防衛大学校卒(国際関係論)幹部任官後、第72戦車連隊にて戦車小隊長、情報幹部、運用訓練幹部として勤務。その後、指揮幕僚課程、中部方面総監部兵站幕僚、戦車中隊長、陸上幕僚監部留学担当幕僚、第6偵察隊長、幹部学校戦術教官、研究本部教育訓練担当研究員を歴任し、平成22年10月退官、予備自衛官(予備二等陸佐)となる。現在、日本兵法研究会会長として、兵法及び武士道精神を研究しつつ、軍事や国防について広く国民に理解・普及させる活動を展開している。著書に『真実の「日本戦史」』『真実の「日本戦史」戦国武将編』(宝島SUGOI文庫)、『『図解雑学―名将に学ぶ世界の戦術』(ナツメ社)、『『なぜ戦争は起きるのか―この一冊で本当の「戦争」が解かる』(宝島社新書)、『闘戦経―武士道精神の原点を読み解く』『兵法の天才楠木正成を読む』『大東亜戦争と本土決戦の真実─日本陸軍はなぜ水際撃滅に帰結したのか』(並木書房)がある。 |