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はじめに 中国の軍事的台頭、北朝鮮の不透明な内外政策の継続、再び大国主義を復活させているロシアなど、わが国を取り巻く周辺環境は厳しさが増している。 なお本書の最大の売りは若手情報分析官にとって役立つと確信する分析手法に関する記述である。米国、英国の国家・軍事機関においてはインテリジェンスの分析手法の研究が盛んで、それらを紹介するマニュアルがインターネットサイトで多く公開されているが、一方のわが国では各情報機関ともに分析手法に関する研究や教育の取り組みが本格化していないと推察される。 |
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目 次 はじめに 1 第1章 戦略的インテリジェンスの概念 9 第1節 インテリジェンスとは何か? 10 「情報」の語源/インテリジェンスとインフォメーションの区分/インテリジェンスの3つの定義/情報とインテリジェンスの対等な関係/インテリジェンスに必要な3つの知識/戦略的インテリジェンスと作戦(戦術)的インテリジェンス 第2節 戦略とは何か? 15 拡大する戦略の概念/戦略の3つの区分/日本の戦略体系 第3節 戦略的インテリジェンスとは何か? 18 脅威とリスク/脅威を構成する2つの要素/意図と能力の関係/意図見積と行動予測見積 第4節 戦略的インテリジェンスの作成 22 第5節 戦略的インテリジェンスの構成要素 25 第6節 日本の戦略的インテリジェンス 27 「国家安全保障戦略」の特徴と思考体系/日本の安全保障上のリスクと脅威/同盟国に対するインテリジェンス 第2章 インテリジェンス・サイクル 33 第1節 循環するインテリジェンス・サイクル 34 第2節 計画・指示の目的と手順 36 「目標指向」で優先順位を決める/情報収集計画を作成する/目標指向の弊害と解決策 第3節 情報収集の目的と手順 39 1 情報源と収集手段 39 収集の手順/第一次情報源と数次情報源/情報収集手段の区分/オシント/シギント/イミント/ジオイント/ヒューミント/マシント/各種収集手段の総合的な活用 2 情報収集のプラットフォーム 54 人工衛星/成層圏プラットフォーム/偵察機/情報収集艦 第4節 情報の処理とその手順 60 処理の必要性/処理の手順/情報源および情報の評価 第5節 インテリジェンスの分析・作成とその手順 66 とくに重要な分析・作成/問題の定義/問題の概観/情報の収集・評価(証拠の分類・整理)/分析(仮説の立案と証明/統合/解釈/プロダクトの作成/論理的なプロダクトの作成/文書の作成/口頭報告や発表資料の作成 第6節 インテリジェンスの配布 74 適時性の重視/新たな情報要求への対応と反証の用意/保全の重要性/秘密区分の指定/サード・パーティ・ルール(第三者への情報秘匿原則)/ニード・トゥ・ノウ/サニタイズ 第3章 インテリジェンスの分析と作成 79 第1節 分析・作成上の着眼 80 適時性か?正確性か?/4つの分析視点/背景分析/相関分析/予測分析/影響分析/意図見積か?能力評価か?/意図見積上の着眼/能力評価上の着眼/白紙的能力/実質的能力/現実的能力/戦略環境を考察するうえでの着眼/戦略環境の変化に対応する 第2節 情報分析官に求められる資質と心構え 88 使用者のニーズに答える/組織人としての協調性を保持する/専門性を高める/客観性・論理性を修養する/継続的観察により変化を察知する/推理力を働かせ、一片の兆候から真実を読み取る/観察眼を養い本質を見抜く/先見洞察力を磨き変化の先をとらえる 第3節 分析・作成上の各種阻害要因 96 各種の阻害要因(致命的な7つの罪)/ミラー・イメージング(鏡像効果)/ヒューリスティックにおけるバイアス/典型のヒューリスティック/利用可能性のヒューリスティック/因果関係のヒューリスティック/アンカーリングのヒューリスティック/後知恵のヒューリスティック/政策決定者の思い込み(誤ったマインドセット)/政策決定者による圧力/真実を歪める情報操作/各種阻害要因の克服に向けて 第4節 分析的思考法 102 氷山分析/地政学的視点/歴史的視点/文化的視点/アリソン・モデル(複眼的思考)/相関関係と因果関係/兆候(予兆)と妥当性/パズルとミステリー/定性的分析と定量的分析/有効性と有用性/「縦の比較」と「横の比較」/論理的思考と創造的思考/拡散的(発散的)思考と収束的思考/帰納法と演繹法 第5節 分析手法 117 1 分析手法が持つ9つの効用 117 2 分析テーマを具体化し、切り口を明確にする 118 「問題の具体化」/基本的な分析手法「MECE(ミッシー)」/「MECE」を応用した階層ツリー法 3 事象の背後関係、相関・因果関係を明らかにする 123 分類分析/リンクチャート/米駆逐艦コールに対する自爆テロのタイムライン/テロリストの人物像/クロノロジー/なぜなぜ分析/特性要因図(魚の骨)/マトリックス分析 4 現在の特性、傾向を探る 139 定量的比較分析/同一事象比較分析/キーワード分析 5 相手国の戦略的意図を分析する 148 関連樹木法/SWOT(スオット)分析/敵の意図マトリックス 6 未来予測を行なう 156 未来予測法の種類/デルファイ法/時系列回帰分析/タイムライン/シナリオ法/4つの仮説/ロジック・ツリー/イベント・ツリー/兆候と警報の変化 7 仮説などの見直しを行なう 173 仮説などの見直し手法/重要な前提の見直し/代替分析/仮説の検証/反対の主張/チームA/チームB/レッドチーム/競合仮説分析 第4章 情報活動 195 第1節 情報活動の区分 196 「積極的情報活動」と「消極的情報活動」/情報保全とカウンターインテリジェンス 第2節 諜報活動 199 諜報活動の指揮系統/身分偽装(カバー・ストーリー)/スパイの潜入手口/内通者の獲得と運用 第3節 情報保全 203 情報保全の特性と区分/要員の保全/秘密文書等の保全/施設の保全/情報保全の本質とは? 第4節 カウンターインテリジェンス 209 カウンターインテリジェンスの必要性/カウンターインテリジェンスの特性/不適格者の排除/活動の無力化 第5節 秘密工作 213 秘密工作の特性/宣伝(プロパガンダ)/政治活動/経済活動/クーデター/準軍事作戦/謀略とは何か?/秘密工作の留意点 第6節 スパイ(諜報員、工作員)の活用 220 スパイの区分/スパイの人物像/スパイによる積極工作/二重スパイとは 第7節 注目すべき歴史的事例 224 CIAによるキューバ工作/イスラエル・モサドの工作/旧日本軍の工作/チャーチルの工作/日本に対するソ連の積極工作 第5章 情報機関 231 第1節 情報機関の研究 232 情報機関の研究意義/情報機関の理想的な在り方/研究上の考慮事項 第2節 日本の情報体制の歴史 234 国民性と情報活動の歴史/明治時代の情報体制/特務機関の設立と活動/戦時の情報体制/日本軍のインテリジェンスの問題点/戦後の情報体制の整備 第3節 日本の情報機関と体制 240 英国型と米国型/内閣情報会議/合同情報会議/省庁間の縦割り体制/秘密保全規則/秘密保全と情報公開/カウンターインテリジェンス機能の強化 第4節 米国の情報機関 247 OSSからCIAへ/情報コミュニティ(IC)/中央情報局(CIA)/国防省系統/国防情報局(DIA)/国家安全保障局(NSA)/国家偵察局(NRO)/国家地球空間情報局(NGA)/国務省系統/情報調査局(INR)/司法省系統/連邦捜査局(FBI)/麻薬取締局/国土安全保障系統/沿岸警備隊/情報・コミュニティの管理・監督機関/国家安全保障会議(NSC)/情報コミュニティの諮問機関/国家情報会議(NIC) 第5節 諸外国の情報機関 255 英国の情報機関/フランスの情報機関/ドイツの情報機関/イスラエルの情報機関/ロシアの情報機関/中国の情報機関/北朝鮮の情報機関 第6節 日本が参考とすべき点 275 情報活動の独立性の保持/取りまとめ・調整機能の強化/政策サイドとの適切な関係の維持/カウンターインテリジェンス機能の強化/長期分析の重視 付録1 インテリジェンスに関する格言 280 主な参考文献 286 コラム 上田篤盛(うえだ・あつもり) |