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書評(一部)

極めて情報価値の高いインテリジェンスの専門書……パブリシャーズ・ウィークリー

本書は世界で最も優秀かつ経験豊富な諜報機関のひとつとされるイスラエルのインテリジェンス・コミュニティの真の姿を読者に教えてくれる。イスラエルのみならず全世界を脅かしているテロとの戦いのために、世界中の諜報のプロたちがイスラエルの直面している問題、そしてイスラエルが出した答えをよく理解する必要がある……エフード・バラク元イスラエル首相・国防相

ユダヤ国家の再誕から3分の2世紀経った今日まで、イスラエルの諜報機関は世界一困難なインテリジェンス任務を遂行してきた。その任務とは、国民に子供の頃からイスラエルの存在を否定する教育をしている敵国に周囲を取り囲まれたイスラエルのオープンな民主主義を守ることである。インテリジェンスの世界では大変めずらしいことだが、本書ではイスラエルの各諜報機関の成功と失敗、また現在インテリジェンスがどのようにして集められ、そして使われているかなどが単刀直入に語られている。これほどストレートに諜報界の内情を記した著作は世界でも過去に例を見ない。本書は今後、出版されるインテリジェンス関係の本の記述内容の率直さがはかられる基準となるであろう……ジェームズ・ウォールズィ元CIA長官



目次

 

 監訳者のことば イスラエル政府公認の初の情報戦史  佐藤優 6
  親愛なる読者へ   エフード・バラク(国防大臣)17
  編者による前書き  アモス・ギルボア准将(予備役)/エフライム・ラピッド准将(予備役)19
  序文          エフライム・ハレヴィ(元モサド長官)22

第1部 諜報機関の長が明かす秘密作戦 27

1 3つの情報機関 28
2 進化するIDIの能力 31
3 モサドの任務と展望 37
4 再構築されたISA 40

第2部 インテリジェンス機関の創設 43

5 独立戦争 44
6 モサドの創設 51
7 ISAの創設 57

第3部 諜報作戦の成功と失敗 65

8 スザンナ作戦(1954年)66
9 ロッテム事件(1960年)76
10 六日戦争前の情報収集活動(1967年)82
11 六日戦争とヨムキプール戦争のインテリジェンス比較 88
12 ヨムキプール戦争中のインテリジェンス・コミュニティ 92
13 エンテベ作戦(1976年)103
14 イラク原子炉攻撃(1981年)111
15 イラク原発攻撃の航空インテリジェンス(1981年)116

第4部 新たな舞台でのインテリジェンス 121

16 レバノン情勢とイスラエルの諜報機関 122
17 コンバット・インテリジェンス 134
18 パレスチナ情勢をめぐるインテリジェンスの課題 145
19 パレスチナ領内でのインテリジェンス活動 155
20 対テロ戦争のジレンマ 163
21 イランの核開発疑惑 173
22 大衆の支持を得る戦い 181
23 IDIの対ソ諜報活動 185

第5部 イスラエル諜報機関の活動 191

24 諜報活動とテクノロジー 192
25 諜報活動とシギント 201
26 ヒューミントと諜報活動 208
27 イスラエルのヒューミント 212
28 オシントと諜報活動 221
29 ビジントと諜報活動 238
30 カウンターインテリジェンス 248
31 空軍情報部 257
32 海軍情報部 265

第6部 イスラエル諜報機関の実力 273

33 ザ・モサド 274
34 軍事作戦とインテリジェンス 291
35 政策決定者とインテリジェンス機関の長の関係 297
36 デビルズ・アドボケイト 304
37 集団思考の問題点 310

 付録1 歴史年表 313
  付録2 主な諜報関連事件 355
  付録3 歴代長官リスト 363
歴代IDI(イスラエル国防軍軍情報機関アマン)長官 363
歴代モサド長官 366
歴代ISA(イスラエル治安機関シャバック)長官 368
  付録4 執筆者一覧 370

アモス・ギルボア准将(予備役)
IDI(イスラエル国防軍情報機関アマン)作成・分析課の元責任者。アラブ問題担当首相顧問、駐米武官、またイスラエルのヘルツェリア学際センターの講師などを務める。

エフライム・ラピッド准将(予備役)
IDI本部情報収集課の元責任者。国防軍のスポークスマンも務める。現在、バー・イラン大学で講義している。

佐藤優(さとう・まさる)
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。1985年に同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、2009年6月有罪確定。現在は執筆活動に取り組む。『国家の罠』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞』『賢者の戦略(共著手嶋龍一)』(新潮新書)、『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方(共著池上彰)』(文春新書)、『日本国家の神髄』(扶桑社新書)、『世界史の極意』(NHK出版新書)など多数。

河合洋一郎(かわい・よういちろう)
1960年生まれ。米国ボイジ州立大学卒業。国際関係論専攻。90年代初めより、国際問題専門のジャーナリストとして、中東情勢、テロリズム、諜報機関その他を取材。「週刊プレイボーイ」「サピオ」などに記事を発表。訳書に『シークレット・ウォーズ?イランvs.モサド・CIAの30年戦争?(佐藤優監訳)』(並木書房)