立ち読み   戻る  

まえがき

 私の好きな言葉は、“ミッション”です。“使命”とも“任務”とも言われます。私は、「人間は、生まれたからには、その人がやるべき何かがあるはず」と考えています。ですから、自分の使命や任務は何なのかを、いつも自問自答しながら追求し続けてきました。
  一〇代の頃の私にとって、日本を支える二本柱は“国防”と“教育”であり、中でも海上防衛が最も重要だと考えていました。大学卒業後、念願の海上自衛官に採用され、江田島の幹部候補生学校に入校しましたが、そこはまさに男性社会でした。女性幹部自衛官の草分けとして暗中模索し、自衛隊に存在し続けること自体が難しい時代でした。そんな中でも、私の好奇心を満たす事が次々と起こり、生き残りをかけた戦いを続けるうち、「後輩が歩む道を切り開くこと」がいつの間にか私の“ミッション”になっていました。パイオニアとして、継続することの大切さなど、伝えたいことがいっぱいあります。女性の生き方としても参考になることがあると思います。
  三十数年の自衛隊生活を、エッセイ風にまとめてみました。気楽に読んでいただければ、幸甚です。



まえがき 1
1 東日本大震災への対応 4
2 心のふるさと“江田島”21
3“女は乗せない戦艦”との闘い 32
4 米軍から学んだこと 39
5 オペレーション分野への挑戦 58
6 英語で苦労したこと 83
7 女性としての悩み 93
8 家族の絆と友人に恵まれて 110
9 リクルートの現場 126
10 自衛隊をPRすること 138
11 地域に根ざした活動 148
12 世界に羽ばたく女性たち 164
13 私の健康法 176
14 後輩に残すもの 186
15 指揮・統率の真髄 203
16 新たなミッション 214
あとがき 222

竹本三保(たけもと・みほ)
昭和54年3月奈良女子大学卒業、同年4月海上自衛隊幹部候補生学校入校(第4期婦人課程)、55年横須賀教育隊教官、56年幹部候補生学校教官、57年東京通信隊、61年自衛艦隊司令部、63年プログラム業務隊、平成4年航空集団司令部幕僚、5年海上幕僚監部防衛部通信課、7年海上幕僚監部防衛部防衛課、9年中央通信隊群司令部幕僚、10年厚木航空通信隊長、13年海上幕僚監部指揮通信保全班長、14年自衛隊兵庫地方連絡部募集課長、16年舞鶴システム通信隊司令、18年システム通信隊群司令部首席幕僚、19年呉システム通信隊司令、20年自衛隊青森地方協力本部長、23年中央システム通信隊司令、23年12月退官(1等海佐)、24年4月より大阪府立学校長に就任予定。