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はじめに 犯罪が複雑、多様化する現在、事件の解決には科学捜査が大きな役割を担っている。新聞やテレビなどでよく耳にするDNA鑑定や血痕の鑑定に用いられるルミノール反応などがそれだ。コンピューター技術を駆使したモンタージュ写真も犯罪捜査の現場で活躍していると思われるかもしれないが、現在ではほとんど使われていない。科学にも限界があるのだ。 私が似顔絵を描く場合、平均三〇分から四〇分ぐらいで素早く描き上げるようにしているが、子どもや幼児は飽きっぽいのでできるだけ早く仕上げないといけない。 私が似顔絵を描き始めた当初は、事件捜査に似顔絵を用いるということは想像もされていなかったが、実績をあげるにつれて評価され、今では似顔絵専門官も育成されている。似顔絵捜査は目立たない捜査手法だが、その出来映えが捜査の行方を大きく左右するのだ。 本書は三八年間にわたる警視庁警察官人生と、一三年間に及ぶタイ警察での活動の記録の一部である。 |
はじめに 1 1 蒲田警察署勤務 11 「七人の刑事」にあこがれて 11 2 似顔絵との出会い 37 初めての即興似顔絵 37 3 独学で似顔絵を始める 68 似顔絵描きの11カ条 68 4 似顔絵捜査官 98 老人の目撃証言 98 5 昭和の事件簿 131 三島由紀夫割腹事件 131 6 タイ警察派遣 162 英語がまったく通じない 162 「あとがき」に代えて 戸島国雄(とじま・くにお) |