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宗像久男著(元陸将)
四六判380ページ
定価2000円+税
ISBN:9784890634132
C0030
発行日 :2021.10
本体価格 ¥2000
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日本の約500年の歴史をざっと俯瞰すると、西欧人が日本周辺に出没し始めた16世紀以降の日本の歴史は「静」と「動」が交互に繰り返しているように見える。戦国時代は国内が混乱し、その末期には西欧人の到来があるなど「動」、鎖国の江戸時代は「静」、幕末から明治維新、そして日清・日露戦争を含む明治時代は「動」、大正時代から昭和初期までは再び「静」、そして昭和前半は再び「動」、昭和後半以降現在までは再び「静」である。日本の歴史は、過去に二度の「静」の時代に、来るべき「動」に備えた国家の態勢整備、つまり国防の備えを怠ったがために、国家の命運を根本から変えるような「動」の時代を迎えることになったと思えてならないのである。
鎖国によって「太平の眠り」をむさぼるあまり、市民革命や産業革命など欧米列国の大きなうねりに取り残された江戸時代、そして日清・日露戦争の勝利と大正デモクラシーに酔いしれて、西欧諸国の近代化や共産主義の拡大などに追随できなかった大正時代や昭和初期はその典型だったと考える。
「静」の時代は、国家としては安泰であり、戦争の心配なく平和を享受できる理想の時代であることはいうまでもないが、「歴史は繰り返す」との古事に倣えば、このまま未来永劫に現在の「静」が続くことはなく、いつか再び「動」の時代が来ることを覚悟する必要がある。(本文より)
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