（著者の言葉）筆者は２０１５年春に退職するまで、読売新聞社に32年勤務し、そのうち20年以上にわたって防衛問題や安全保障を専門に取材してきた。その期間は、日本が安全保障をめぐって苦悩した25年と重なっており、本書をまとめるに際しては、机上の研究ではなく、実際に現場で見たこと、聞いたことなどを中心に、研究書では決して取り上げることのできない場面や、行間に埋もれてしまう事実を織り交ぜたつもりである。これから安全保障や危機管理を学ぼうとする学生はもとより、日本が直面する危機と向き合ってみようと思う多くの人々にも一読していただき、本書から多くの視座をくみ取っていただければ幸甚である。