目 次
第1章 銃器の基礎知識 7
1 米陸軍と海兵隊で最も長く使われている銃器は何か? 7
2 世界で最も長く使われている近代的軍用小銃は何か? 10
3 近代以前、最も長く使用された軍用銃は何か? 15
4 米軍兵器の名称とカテゴリーとは? 16
5 米軍兵器の型式番号にハイフンは使用されているか? 19
6 外国製兵器の型式名称は? 20
7 隠れたまま建物の陰から撃てる旧ドイツ軍の武器は実在した? 23
8 短機関銃にはマガジンを水平に差し込むタイプがあり、軽機関銃には上部から装着するものがある。その理由は? 24
9 ステン・ガン、ブレン・ガン、ベサ・ガン、オーステン・ガンなどの名前の由来は? 25
10 英国の植民地経営を支えたマキシム機関銃は、なぜ「悪魔の絵筆」と呼ばれたのか? 28
11 第2次世界大戦で使われた最悪の小火器は何か? 29
12 水路ガンとは何か? 34
13 英国は日本製の小銃を公式採用したか? 34
14 第2次世界大戦で英軍と英連邦軍は米軍の兵器を使用したか? 35
15 旧日本軍兵器の名称で「式」のあとに西暦が入っている理由は? 38
16 第2次大戦の名将が携帯した拳銃にはどんなものがあるか? 39
17 アサルト・ライフルとは何か? 42
18 日本本土侵攻が行なわれていたら、米軍はどのような新型兵器を使用していたか? 43
19 自動拳銃ではなくリボルバーがパイロットに支給された理由は? 44
20 最初の無反動砲は航空機搭載型だった? 45
21 無反動砲は本当に反動がないのか? 47
22 スウィーディシュ-Kはどんな兵器? 48
23 ベトナム戦争中「トンネル・ラッツ」は特殊拳銃を支給されていたか? 48
24 ポンポン砲とは何か? 50
25 対戦車目的に特化した最初の兵器は? 51
26 ポンドで示される英軍兵器の砲弾は実際に額面通りの重さがあるのか? 52
27 伝説の短機関銃トンプソン・サブマシンガン小史 53
28 スナブノーズ・リボルバーが今も人気を集める理由とは? 58
29 マシン・カービンとは何か? 60
30 世界初のサブマシンガンは何か? 61
31 CAR-15とは何か? 62
32 最悪の米陸軍制式小火器は何か? 64
33 モーゼル拳銃がブルームハンドル(箒の柄)と呼ばれた理由は? 66
34 ドイツ兵がMP.40短機関銃よりソ連のPPSH-41サブマシンガンを欲しがったのは本当か? 67
35 最高機密とされたピダーセン装置とは何か? 69
第2章 銃器の俗説 71
36 ロシアで設計されアメリカで製造された小銃をロシア内戦に出兵した米兵が装備していた? 71
37 ドイツのMG.34汎用機関銃が「シュパンダウ」と呼ばれる理由は? 72
38 小銃擲弾は肩撃ち姿勢から発射できないというのは本当か? 74
39 ガトリング・ガンは実際にどれほど広く使われたのか? 75
40 米軍のM60汎用機関銃はドイツ製MG.42のコピーか? 78
41 .30カービン弾仕様の軍用銃はM1とM2カービンだけだったか? 79
42「シュマイザー」マシン・ピストルの設計者はシュマイザーではない? 80
43「カービン」ウィリアムスは本当にM1カービンの発明者か? 82
44 M1ライフルの挿弾クリップ自動排出機能は兵士を危険にさらしたか? 83
45「タンカー・ガーランド」とは何か? 84
46 英陸軍小銃SMLE(スメル)は何の略語か? 85
47「.60口径機関銃」って何? 87
48 南北戦争の激戦地に放置されたマスケット銃には火薬と弾丸が複数装?されていたというのは本当か? 87
49 TVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』のハンドガンは実銃か? 88
50 拳銃の横撃ちは有効か? 90
51 映画によく登場する分解式ライフルの正体は? 90
52 火炎放射器は頻繁に爆発し、射手を焼き殺したというのは事実か? 91
53 ベトナム帰還兵が全自動火器を合法・非合法で持ち帰ったというのは事実か? 92
54 最も小型の実用拳銃「デリンジャー」とは何か? 93
55 M134ミニガンを手持ちで射撃できるか? 94
56 水中では、銃身が短いほど飛距離が長くなるというのは本当か? 95
57 小火器の最大射程と最大有効射程の違いは何か? 96
58 西部劇に最もよく登場するライフルは何か? 97
59 ヘンリー・ウィンチェスターって何者? 99
60 戦争映画に登場する兵器は間違いだらけ? 100
61 武器弾薬に関する「映画の嘘」とは? 103
62 ソ連製RPG-2がドイツ軍対戦車擲弾「パンツァーファウスト」の発展型というのは本当か? 108
63 RPGは何の略語か? 110
64 リボルバーに取り付けたサプレッサーに効果はあるか? 112
65 ベリー・ピストル(信号拳銃)の起源は? 113
第3章 弾薬の基礎知識 114
66 弾薬が「ラウンド」や「ボール」と呼ばれる理由は? 114
67 最悪な「弾薬」と「弾丸」の言い違い 116
68 薬莢の底にある数字とアルファベットの意味は? 117
69 旧式の弾薬に使われた2組の数字の意味は? 119
70 市販の弾薬は軍用銃に使えるか? 120
71 メートル法と英国式弾薬表示の違いは? 121
72 .45口径M1911A1自動拳銃に使われる弾薬の「APC」とは何の略語か? 123
73 ベトコンと北ベトナム軍の弾薬に米陸軍特殊部隊が爆発する弾薬を混入させたのは本当か? 124
74 1人5役の空包とは何か? 126
75 機関銃手訓練用の有人標的機は実在したか? 127
76 ショットガンのゲージ(口径)はどのように決まるのか? 129
77「410」ショットガンは実在するか? 130
78 3メートル以内でないと効果がない小口径散弾とは? 131
79 ショットガン・シェル(散弾銃用弾薬)の色は何色? 132
80 エレファント・ガンとは何か? 133
81 最も大口径の拳銃は何か? 135
82 最も口径の小さい銃器は何か? 137
83 米軍はサバイバル用の拳銃弾を支給したか? 141
84 最も口径の大きいライフルは何か? 142
第4章 弾薬の俗説 145
85 口径表示と実口径はなぜ違うのか? 145
86 NATO軍と旧ワルシャワ条約機構軍の弾薬には互換性があるか? 146
87 米軍は.50口径重機関銃を対人用に使うことを禁じているか? 148
88 .30-06弾の「06」の意味は何か? 149
89 .276ピダーセン弾仕様のM1ガーランド小銃が制式化の一歩手前だったというのは事実か? 150
90 ドイツ軍と日本軍は木製弾丸を使用したか? 151
91 米西戦争でスペイン軍は「毒薬弾」を使用したか? 153
92 「毒薬弾」は実用的か? 154
93 獣脂を塗った弾薬がインドの反乱を引き起こしたのは事実か? 156
94 侵入訓練コースで行なわれる頭上機銃掃射は危険か? 157
95 曳光弾を弾切れ表示に使うなら何発目に装?するか? 159
96 銃殺隊が使用する「良心の呵責をやわらげる弾丸」とは何か? 160
97 緑色の曳光弾はいつも敵側のものだというのは本当か? 160
98 M16小銃の弾丸が飛行中に横回転するというのは本当か? 162
99 曳光弾だけで射撃してはならない? 163
■コラム
ブラウン・ベスの由来 16
制式化と配備時期に関する知識 18
兵器のカテゴリー分けは難しい 19
小火器の名称 27
米陸軍の将軍は特別あつらえの拳銃を贈られる? 37
ゲーリング元帥の愛銃は? 40
ライフリングとは何か? 46
対戦車兵器にはなりえなかった野砲 52
マガジンの互換性 54
トンプソン短機関銃の別称 56
リボルバーにサイレンサー? 60
M4カービンの名前の由来は? 63
右給弾と左給弾の違いは? 68
ガトリング・ガンさえあれば第7騎兵隊は全滅をまぬがれたか? 77
2人のシュマイザー 81
映画特有の嘘に注意する 102
映画やテレビドラマに過大な期待をしない 107
サプレッサーの発明者 110
回転する弾丸は真っ直ぐ飛んでいく 117
「9ミリ弾」といえば「9ミリパラベラム弾」121
ハンターが最後の手段として使った「ハウダ・ピストル」137
同じ国の同口径の武器であっても互換性があるとは限らない 147
.50口径M2重機関銃の強力な火力支援 148
テフロン・コーティングの弾丸 152
そのほかの「毒薬弾」155
おわりに 165
訳者あとがき 166
訳者あとがき
私と銃器との出逢いは古い。1964年の東京オリンピックの年だ。
防犯連絡所になっていた友人の家を訪ねたおり、家人と茶を飲んでいたお巡りさんの腰に拳銃が見えた。
「坊や、これ、なんだか知ってるか?」
私の凝視に気づいた巡査が聞く。初めて見る本物の拳銃。思わず顔を近づけた。
「よっぽど好きなんだな」
お巡りさんは気にする様子もなく茶を飲み続けた。小ぶりのリボルバーを目の前に、私は手のひらに収まった鋼鉄の重みを想像して恍惚となり、この世でもっとも美しいモノとの一体感を味わった。
1970年代末に渡米し実銃と再会。数丁手に入れる幸運に恵まれた。後年、永住を決意する舞台裏では、これらの銃器を手放したくないという気持ちが強く働いた。陸軍時代、最初の数年は武器科に配属され、ありとあらゆる兵器に囲まれて過ごした。しかし心を惹かれるのは、やはり拳銃や自動小銃、機関銃といった小火器だった。射撃訓練や検定後、嬉々として武器を掃除することから、部下の兵隊には風変わりな少尉だと思われていたようだ。
私はガンスミス(銃器の製造や改造を行なう職人)でも銃器史の専門家でもない。だが好きこそものの上手なれというように、いくらかは踏み込んだ知識を持ち合わせているものと思っていた。ところが本書を翻訳してみて、よく知られた小銃や拳銃ですら事実誤認や見落としが多数あり、銃弾薬をめぐるハリウッド映画の嘘や誇張、その他の俗説を鵜呑みにしていた事実を認めざるを得なかった。
それもそのはず。著者のゴードン・ロットマンは米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の隊員で、ベトナム戦争参戦を皮切りに、各種兵器にくわえ偵察や情報収集分野で26年に及ぶ軍歴を持つ強者だ。
『ガントリビア99』が紹介する「雑学」知識は、ロットマンの実戦経験と深い見識、洞察に裏打ちされたものなのだ。
翻訳を進めながら、この30数年に撃ってきた数々の銃を思い起こした。新たに知ったトリビアのおかげで、これらの小銃や拳銃、散弾銃、そして弾薬に関する興味と愛着が一層深くなった。
実銃体験の有無にかかわらず、読者も同様の感想を持つであろう。武器の裏表を知り尽くした著者だからできる離れ業である。
お巡りさんのニューナンブ拳銃から半世紀以上が経ったいま、本書を日本の読者に紹介する幸運を得た。銃器にまつわる嘘や誇張を正し、人が命をかけて使う道具を理解する一助になればと思う。
最後に本書の校正・校閲を担当していただいた渡部龍太氏と近代銃器史家の杉浦久也氏に深く感謝を申し上げる。
ゴードン・ロットマン(Gordon L. Rottman)
1967年に米陸軍入隊後、特殊部隊「グリーンベレー」を志願。各国の重・軽火器に精通する兵器担当となる。1969年から1970年まで第5特殊部隊の一員としてベトナム戦争に参戦。その後も空挺歩兵、長距離偵察パトロール、情報関連任務などにつき、退役時の軍歴は26年に及ぶ。統合即応訓練センターでは、特殊作戦部隊向けシナリオ製作を12年間担当。現在はフリーランス・ライター。著書にオスプレイ・ウエポンシリーズの『M16』『Ak47』など多数。テキサス在住。
加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ州立大学フェアバンクス校ほかで学ぶ。88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―ある“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢うまで』『アメリカンポリス400の真実!』『M16(近刊)』(いずれも並木書房)がある。現在メルマガ「軍事情報」で配信中。 |