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出版業界に身を置く者の常識として、私は、かつて自分が執筆した業界や事柄については十分な知識を持っていると思っていた。そのため、アメリカ海兵隊に関する書籍の執筆を依頼されたとき、この作業がさほど難しいものだとは思わなかった。 本書の執筆にあたり、海兵隊員へのインタビュー、関連文書、その逸話などを通じて、私の海兵隊に対する尊敬の念は、さらに深いものとなった。 |
目 次 はじめに 9 第1章 海兵隊の新兵訓練 13 誤解されている戦闘集団/伝説の海兵隊員たち/新兵募集の新しい試み/最初の試練/13週間の新兵訓練/54時間続く最後の試練/海兵隊士官学校(OCS) 第2章 海兵隊の組織と戦い方 27 紛争から6時間以内に派兵/予期せぬ状況を乗り越える/成功した戦車救出作戦/「仲間」と「勇気」は同意語/高まる海兵隊の遠征能力/海兵空地任務部隊(MAGTF)/海兵遠征部隊(MEU)/海兵遠征旅団(MEB)/海兵遠征軍(MEF)/海兵隊員はライフルマン/海兵隊の戦闘支援部隊/戦争の3段階/海兵隊ドクトリンと戦闘/「勝つまで戦い続ける」/世界で5番目の航空戦力/海岸上陸は海兵隊のお家芸/水陸両用車「AAV7」/次期水陸両用戦闘車(AAAV)/海兵隊を支える戦闘技術研究所/最精鋭のフォースリーコン/スカウトスナイパー/砲兵部隊との連携プレー/3発同時着弾の高度な砲撃/海兵隊の車両に対する考え方/近接航空支援/AH-1W攻撃ヘリ「コブラ」/AV-8Bハリアー2/戦闘による損害/計略による戦争/ラマディの戦闘/アフガニスタン:「不屈の自由作戦」/リノ前線基地でのタリバン掃討/検問所での戦闘/ふたたび、海兵隊員とは 第3章 テロとの戦い 74 戦場が都市部に変わった/中東の市街戦/海兵隊の市街戦プログラム/困難な自爆攻撃との戦い/イラク戦争:フセイン大統領宮殿の制圧/ナシリアの戦闘/ジェシカ・リンチ1等兵の不運/ナビゲーションシステムの誤作動/待ち伏せ攻撃にパニック/「私はレイプされて殺される…」/救出作戦は失敗した/橋を制圧せよ/友軍の誤射で危機に立つC中隊/ウンムカスルの戦闘/戦わずに逃げ出したイラク兵/北進、バグダッドへ/バグダッドへの攻撃開始/バグダッド市民の歓迎//新たな敵、テロリストの登場/テロリストの戦略/海兵隊の苦悩/アフガニスタンのテロリスト/息を吹き返したテロリスト/イラク戦争:ファルージャの激戦/超至近距離の戦闘/命に代えても仲間を守る/海兵隊は全力をもって反撃する/戦闘で斃れた者は天使になる/帰りを待つ家族のもとに 第4章 これからの海兵隊 125 海兵隊の強みは高い適応能力/新たな任務「テロとの戦い」/注目されるリーダー育成法/新たな戦闘組織/次世代指揮発令所と海上基地/新たな補給組織/航空戦力の更新/海兵隊の特殊部隊論 資料 海兵隊が参加した主な戦い 134 チャプルテペックの戦い(1847年9月12日〜13日) 訳者あとがき 142
訳者あとがき 本書はデビット・パークス、ロス・ブライアント共著の“USMC"(US Marine Corps:アメリカ海兵隊)の全訳である。 海兵隊に関する書籍は、アメリカ国内では膨大な数が出版されているが、その多くが組織や歴史の解説に重点を置き、海兵隊の兵士がどのように考え、行動し、戦場に赴くのかといったことを解説している書籍は意外に少ない。海兵隊の本当の姿を知るには、つねに先陣を切って戦いに赴く「海兵魂」を理解することが重要であり、本書はそれに応えるものである。 第1章の「海兵隊の新兵訓練」で、学校を卒業した若者が海兵隊員となる過程を紹介している。 世界的なテロとの戦いが現在も続けられている。その最前線で戦っているのは、ほかならぬ海兵隊である。今や海兵隊は、アメリカのみならず全世界の反テロ、平和を求める意思表示の軍隊である。日本も含めたこの世界秩序を維持するため、最前線で命をかける海兵隊について、我々はもっと知るべきではないだろうか。本書こそ、その第1歩となると私は確信するとともに、テロとの戦いおよびアフガン・イラク戦争について目を向ける端緒となればと願っている。友清 仁 デビッド・パークス(David Perks) ロス・ブライアント(Russ Bryant) 友清 仁(ともきよ・ひとし) |