『シリア原子炉を破壊せよ─イスラエル極秘作戦の内幕』

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ヤーコブ・カッツ(『エルサレム・ポスト』編集主幹)著
茂木作太郎訳
四六判288ページ 定価1700円+税

9784890633975
C0031


発行日 :2020.4
定価 ¥1700+税

 2007年9月6日、シリアが秘密裡に砂漠に建設していた原子炉を、イスラエルが誰にも知られずに空爆で破壊した。本書はこの極秘作戦をめぐるイスラエルやアメリカ政府の政策決定の内幕を余すところなく描いた刺激的な国際ノンフィクションである。
  本書の著者は『エルサレム・ポスト』紙の編集主幹を務めるヤーコブ・カッツ氏。イスラエルとアメリカの政策コミュニティに広範なネットワークを有する同氏は、両政府でインテリジェンス活動や政策決定に携わった主要な高官たちへのインタビューを通じて、当時の両政府内部で展開されていた激しい政策闘争や軍事作戦決定に至るイスラエル安全保障閣議の緊迫した様子などを見事に再現している。
  2018年3月21日、イスラエル政府は、2007年9月にイスラエル空軍の戦闘機がシリアのアルキバール原子炉を破壊したことを公式に発表した。カッツ情報相(当時)はこの声明で、「2007年の空爆は核兵器でイスラエルの存在を脅かそうとするものを決して許さないことを示した。当時はシリアで、今はイランだ」と述べたのである。
  事件から10年以上経ったこの時期に空爆実施を公式に認めたのは、勢力を拡大させイスラエルを脅かすイランに対する警告であった。
  本書の物語は、今日われわれが住む世界にも大きな影響を与えているのである。(国際政治ジャーナリスト・菅原出)