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解題 『機巧図彙』は歴史上、世界に誇れる優れた内容と独自性を持った機械技術の啓蒙書である。首巻・上巻・下巻の三冊から成り、首巻には三種類の和時計、上・下巻には合わせて九種類の座敷からくり(室内で遊ぶからくり玩具)が掲載され、多数の詳細な構造図・部品図とともに、製作方法が解説されている。江戸で一七九六年(寛政八)に刊行され、同年のうちに大坂、一八〇八年(文化五)に京都で再版された。まさしく人気の書籍であった。 天文学者であり、からくりも作った著者 機巧図彙の著者は、細川半蔵ョ直(一七四九頃―九六)である。土佐の香美郡西野地村の郷士で、儒学を戸部良煕(一七一三―九五)に、天文暦学を片岡武二郎(生没年不詳)に学んだ。知識を実際の形にするものづくりの才能があったようで、京都に遊学した際に「写天儀」と名づけた器具(一種の天球儀と思われる)を作って土佐候と榊原大納言に献上しているし、磁石を用いずに方角と時刻を知る道具や、「行程儀」と名付けた万歩計も作っている。 |
[はじめに] 三都で刊行された人気の書 5
機巧図彙 首巻 49 柱時計(はしらとけい)50 機巧図彙 上巻 117 茶運人形(ちやはこびにんぎやう)120 機巧図彙 下巻 185 龍門瀧(りうもんのたき)186 [挑戦される方のために] 茶運び人形 265 参考文献 273 村上和夫(むらかみ・かずお) |