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![]() ナイフは触発する 1 サイズについて考える 「大は小を兼ねない」/日本にある道具のサイズ/ナイフを選ぶ/ブレードのマキシマム・サイズ 2 デザインについて考える シンプルを最上とする/ハンティング・ナイフについて/フィッシング・ナイフ/サバイバル・ナイフ/ダイバーズ・ナイフ/ジャパニーズ・ナイフ/ボウイ・ナイフ/フォールディング・ナイフ/ロック・システム/ブレードの研削/ブレードの表面仕上げ/ハンドルのデザイン/タングの構造/ハンドルの素材/装飾の是非/鋼材あれこれ コラム「ナイフ購入時のチェック・ポイント」 モダン・ナイフの生きた伝説(R・W・ラブレス) 3 プロダクション・ナイフを検証する カスタム・グレードに迫る(モキ・ナイフ) 4 鍛造ナイフを見直す 研ぎやすく、明快な切れ味が魅力/モダン・ナイフvs鍛造ナイフ 5 メンテナンスの愉しみ 砥石を選ぶ/研ぎの実際=刃角を一定に保つ/カーブ部分はナイフを立てながら/手首を固定して1ストロークで研ぐ/使った後の手入れ/革シースの手入れ |
![]() ナイフは、男たちにとって、単なる道具以上の魅力を秘めた存在である。手にとるたびにイメージの狩人に変身する愉しみも、ハンドルに力を込める際の昂りも、男の精神にとっては、根源的なものであるに違いない。たとえ電子機器の並んだ書斎にあったとしても、ひとたびナイフを手にすれば、はるか三百万年も前、人類が初めてこの鋭い道具を手に入れた高揚を、時空を超えて共有することになるからである。ナイフは、太古の闇から届いた手紙であり、想像と創造にかかわるきわめてフェティッシュな道具と見ることができよう。
●織本篤資(おりもと・とくすけ) |