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●内容目次

卸売物価指数統計100年の歩み
1日本銀行卸売物価指数の沿革
2卸売物価指数100年の推移
3対象品目とそのウエイトの変遷

統計資料編
明治20年1月基準指数(明治20年1月―明治34年12月)品目数=明治25年以前30、明治26年以降40、価格調査方法=明治30年までは農商務省資料を利用、以後日銀調べ
明治33年10月基準指数(明治33年10月―昭和6年12月)品目数=56、価格調査方法=毎旬平均価格の報告を卸売商より受け、この3旬平均価格から月間価格を算定
昭和8年基準指数(昭和6年1月―昭和21年12月)品目数=110、価格調査方法=毎旬平均価格の報告を卸売商より受け、この3旬平均価格から月間価格を算定
昭和23年1月基準指数(昭和21年1月―昭和27年12月)品目数=335、価格調査方法=毎旬平均価格の報告を卸売商より受け、この3旬平均価格から月間価格を算定
昭和27年基準指数(昭和27年1月―昭和35年12月)品目数=436、価格調査方法=契約時の実際販売価格を毎旬調査、月間価格は3旬価格の平均
昭和35年基準指数(昭和35年1月―昭和40年12月)品目数=基本指数770、部門別指数656、価格調査方法=契約時の実際販売価格を毎旬調査、月間価格は3旬価格の平均。価格調査先は原則として1品目2社以上。国内品は第1次卸売業者の実際販売価格、輸出品はFOB建価格、輸入品は国内販売価格が原則
昭和40年基準指数(昭和40年1月―昭和45年12月)品目数=基本指数806、部門別指数834、価格調査方法=契約時の実際販売価格を毎旬調査、月間価格は3旬価格の平均。価格調査先は原則として1品目2社以上。国内品は第1次卸売業者の実際販売価格、輸出品はFOB建価格、輸入品は国内販売価格が原則
昭和45年基準指数(昭和45年1月―昭和50年12月)品目数=928、価格調査方法=契約時の実際販売価格を毎旬調査、月間価格は3旬価格の平均。国内品は第1次卸売業者の実際販売価格、輸出品はFOB建価格、輸入品は国内販売価格が原則
昭和50年基準指数(昭和50年1月―昭和55年12月)品目数=1034、価格調査方法=契約時の実際販売価格を毎旬調査、月間価格は3旬価格の平均。国内品は第1次卸売業者の実際販売価格、輸出品はFOB建価格、輸入品は国内販売価格が原則
昭和55年基準指数(昭和55年1月―昭和61年12月)品目数=国内卸売物価819、輸出物価212、輸入物価154、総合卸売物価1185、価格調査方法=国内卸売物価は原則として第1次卸売業者の実際販売価格、輸出物価はFOB建価格、輸入物価CIF建価格をいずれも契約時点で毎旬調査。月間価格は3旬価格の平均


●「復刻版解題」(一部)

 本統計資料集は、日本銀行による卸売物価指数の作成が満100周年を迎えたことを記念して、日本銀行調査統計局が編集したものである。日本銀行の物価統計は、大蔵省の貿易統計や税務統計などを除くと、日本の経済統計として最も長い歴史を有する統計の一つであるといってよい。
 本資料集の強みは、結果としての各年の総平均物価指数だけでなく各月のデータが記されていること、また、商品群ごとの類別指数とその基礎をなす各商品の品目指数も詳細に記されていることである。例えば、景気変動についての短期的な分析にさいして、本資料集に収録された日本銀行の物価調査が好んで使われてきたのは、そうした月毎のデータが載っているためであるといえよう。日本の恐慌史研究の先鞭をつけた大島清『日本恐慌史論』(東京大学出版会)は、1890年(明治23)恐慌から1930〜31年の昭和恐慌までの諸恐慌における物価変動を検討するときに、日本銀行の卸売物価指数を盛んに利用しているが、それはまさに同指数のそうした特徴のためであった。
 また、本資料集の価格データは、時期を追った経済全体の変動分析だけでなく、産業部門間の構造比較の分析にも利用することができる。収録された産業分類別や個別商品別の価格指数の変化を互いに比較することを通じて、生産部門間の生産性上昇の速度の違いといった産業構造の動態分析の手掛かりを得ることができるであろう。本資料集の卸売物価指数が、いっそうの詳しさと厳密さを増すのは、大島前掲書が擱筆した時点である1931年以降の50数年間である。そうした時期の物価史研究の推進のためには、本資料集の収録データの利用価値は、それ以前の時期にもまして高いというべきであろう。
石井寛治(東京経済大学教授・東京大学名誉教授)